こちらのページでは、世界の株式市場がピークとなった局面の「世界の株式時価総額ランキング」を掲載しています。
1990年代以降、世界的に株価がピークをつけた局面は下記4回です。
- 2000年:ITバブル時
- 2007年:リーマンショック前
- 2020年:コロナショック前
- 2021年:コロナショック後(直近)
2000年・2007年・2020年・2021年はいずれもその後に世界的な景気低迷などもあり、株価は大きく下落しました。
- 株式市場の中心である米国株の長期推移はこちらを参照してください:米国株(S&P500)長期推移(チャート・変動要因) / 30%以上の暴落は過去8回
2000年と2007年はトップ企業の時価総額がともに5,000億ドル(1ドル=100円換算で50兆円)前後でピークとなりましたが、2020年以降は複数の企業が1兆ドルを超えました。
時価総額ランキングはそれぞれの時代の変化を反映しており、様々な気づきもありますので参考にしてください。
世界の株式時価総額ランキング(ITバブル時:2000年3月末)
ITバブルピーク時の世界の株式時価総額ランキングです。
ITバブルで躍進した企業の中にはその後、買収などにより姿を消した企業も多くあります。
- 15位:ルーセントテクノロジー(アルカテルと合併後ノキアと合併)
- 17位:SBCコミュニケーション(AT&Tと合併)
- 20位:ノーテルネットワーク(ノキアに買収)
- 23位:サンマイクロシステムズ(オラクルと合併)
- 24位:ボーダフォンGmbH(ボーダフォンと合併)
- 35位:ロイヤルダッチペトロリアム(現ロイヤルダッチシェル)
- 36位:ディレクTV(AT&Tと合併)
- 38位:AOL(タイムワーナーと合併)
- 42位:ソシエテ・デディション・ド・カエル(ビベンディと合併)
1990年代後半からパソコン・携帯電話・インターネットが世界的に急速に普及したことでIT(情報技術)革命が起こりました。
とは言っても、2000年時点ではスマホは存在せず、パソコンも皆が持っている状況ではありませんでした。
インターネットも完全な普及期には入っておらず、関心の高い人が電話回線を使って利用しているような環境でした。
それでも株式市場は期待先行の相場となり、1999年~2000年3月頃までIT(情報技術)に関連したインターネット関連株や通信関連株が大きく上昇しました。
IT(情報技術)革命を先取りした相場となり、PERやPBRでは説明できない程上昇する銘柄や赤字にもかかわらず大きく上昇する銘柄が多く発生しました。
中には売上高すらほとんどないような企業のIPO(新規公開)も多く行われました。
また、日本企業ではNTTドコモ、NTT、トヨタ、ソニー、ソフトバンク(現ソフトバンクG)が世界の時価総額トップ50にランクインしていました。(上記の表を参照)
特にソフトバンク(現ソフトバンクG・9984)は1999年の年初から2000年2月の高値まで1年2ヵ月で約30倍近くの上昇となりITバブル相場の日本における象徴銘柄となりました。
また、上記のランキングにある通り、NTTドコモの時価総額が約40兆円まで拡大しており、現在でも日本企業の時価総額の最高記録となっています。(ドコモの筆頭株主であるNTTも8位で時価総額が25兆円以上ありました)
インタネット関連の代表銘柄
- マイクロソフト、シスコシステムズ、インテル、オラクル、IBM、ソフトバンク、サンマイクロシステムズ
携帯電話・通信関連の代表銘柄
- ボーダフォン、NTTドコモ、ドイツテレコム、AT&T、NTT、ノキア
2000年4月以降はITバブルが崩壊し株価が急落、元々上昇幅が大きかったこともあり下落幅・下落スピード共に、過去のマーケットでは経験したことのないレベルとなりました。
IT関連銘柄が多く含まれる米国のナスダック総合指数は1998年10月の1357ポイントから2000年3月に5,132ポイントをつけた後、2002年10月には1,108ポイントまで下落しました。
指数ベースで1年5ヶ月で約4倍近くになった上昇局面も本当に凄かったですが、その後の下落も2年7ヶ月で約80%の下落ですので、本当にとんでもないマーケットになりました。
個別銘柄では1/10以下まで下落するものやチャプター11を申請する銘柄も続出しました。
- ナスダック総合指数の推移とITバブル期のナスダック時価総額ランキングはこちらを参照:ナスダック時価総額ランキングの推移(ピーク時とボトム時)
日本企業の中でITバブルの象徴的な存在であったソフトバンク(9984)もピーク時から約1/80の水準まで下落しました。
ITバブルに関する情報はこちらも参照してください。
世界の株式時価総額ランキング(リーマンショック前:2007年10月末)
次にリーマンショック(サブプライムショック)前の世界の株式時価総額ランキングです。
ちなみに、2007年10月末に世界の株式時価総額の合計は62.6兆ドルまで拡大しました。
世界の名目GDP合計は51.5兆ドルでしたので「世界の株式時価総額/名目GDP比率」は121%まで上昇していました。
- 世界の株式時価総額/名目GDP比率の推移はこちらを参照:全世界の株式時価総額と名目GDPの比較チャート(データ更新用)
ITバブルが崩壊した後、2003年~2007年頃まで世界的に株価は大きく上昇しました。
2003年~2007年の株式市場のポイントは「BRICsをはじめとする新興国経済が存在感を高めたこと」と「長期間低迷していた原油に代表される資源価格が大幅に上昇したこと」があげられます。
それにより「新興国関連銘柄」と「資源関連銘柄」が大きく上昇し、時価総額上位にランクインしています。
新興国関連銘柄
- ペトロチャイナ、チャイナモバイル、中国工商銀行、ガスプロム、シノペック、中国の4大銀行、チャイナ・シンファ・エナジー、
資源関連銘柄
- エクソンモービル、ペトロチャイナ、ガスプロム、ロイヤルダッチシェル、シノペック、BT、BHPビリトン、チャイナ・シンファ・エナジー
中にはペトロチヤイナ、ガスプロム、シノペック、チャイナ・シンファ・エナジーのように新興国と資源の両方に関連する銘柄も多く存在していました。
一方、ITバブル時に大きく上昇したハイテク関連企業はそれほど多くランクインしていません。
また、日本でトップ50にランクインしたのはトヨタのみとなりました。
ITバブル時は5社がトップ50に入っていたので日本企業の相対的な存在感が低下しました。
逆に中国は4大銀行やペトロチャイナ、チャイナモバイル、シノペック、中国人寿保険など幅広い業種でトップ50にランクインし、存在感を高めました。
2007年10月以降は徐々に株式市場が軟調となり、2008年にはリーマンショックが発生し金融市場は大きな混乱となりました。
- リーマンショック時のの各資産クラスの最大下落率はこちら:各資産の最大下落率(リーマンショック)
世界の株式時価総額ランキング(コロナショック前:2020年1月20日)
次にコロナショック前の2020年1月の世界の時価総額ランキングです。
リーマンショック後、2009年~2020年は世界的に株価が上昇しました。
上記でも掲載した通り、リーマンショック前の2003年~2007年は「新興国」「資源」に関する銘柄が大きく上昇しましたが、リーマンショック後の2009年~2020年は米国を中心とした「IT企業」が大きく成長しました。
また、純粋なインターネット関連に限らず、5GやIOTの恩恵を受ける半導体関連・ソフト関連企業の成長も目立ちます。
ちなみにランキング1位のサウジアラムコは主要国株式市場への上場がかなわず、自国市場へ発行済み株式数の数%を上場しているだけですので、あくまで参考として見ていただければと思います。
それ以外ではグーグル(アルファベット)・アップル・フェイスブック・アマゾンにマイクロソフトを加えたGAFA+Mが上位を占めています。
特にアップル・マイクロソフト・アルファベットは時価総額が1兆ドルを超えています。(アマゾンも一時1兆ドルを超えています)
上記で紹介したITバブル時とリーマンショック前は時価総額トップでも5000億ドル前後でしたが、一気に水準が上昇しました。
IT関連企業(インターネット・半導体・ソフトウエアなど)
アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、フェイスブック、アリババ、テンセント、サムスン電子、TSMC、インテル、シスコシステムズ、オラクル、SAP、アドビ、セールスフォース
GAFA+MをはじめとするIT企業はリーマンショック以降、M&Aに積極的なことが時価総額を大きくしている面もあります。
アルファベット(グーグル)がYouTubeを、フェイスブックがインスタグラムを買収したりしたことで、1企業当たりの時価総額が大きくなっている面があります。
その後、2020年2月~3月にかけて新型コロナウイルスの影響で金融市場は大きな混乱となりました。
- コロナショック時の各資産クラスの最大下落率はこちら:各資産の最大下落率(コロナショック)
世界の株式時価総額ランキング(コロナショック後:2021年11月17日)
2020年2月~3月にかけて新型コロナウイルスの影響により株式市場は大きく下落しましたが、世界的な金融緩和により、その後回復し大きく上昇しました。
例えば米国株(S&P500)は2020年2月~3月に一時34%下落しましたが、2020年7月には前回の高値を上回り、過去最高値を更新しました。
2020年11月17日、世界の時価総額合計が約122兆ドルまで拡大しました。
新型コロナウイルスの影響で名目GDPが減少したこともあり、「世界の株式時価総額/名目GDP比率」は140%前後まで上昇しました。
- 世界の株式時価総額/名目GDP比率の推移はこちらを参照:全世界の株式時価総額と名目GDPの比較チャート(データ更新用)
さすがに「世界の株式時価総額/名目GDP比率」が140%というのは、コロナ対応の金融緩和によるバブル的な要素が強かったと言えます。
世界の時価総額合計が最も拡大した2021年11月17日の時価総額ランキングトップ50社は下記の通りです。
コロナ前のピーク時(2020年1月20日)と比較して、ランキング上位企業の時価総額が一段と大きくなっています。
マイクロソフト・アップルの時価総額は2兆ドルを超え、サウジアラムコを含めて6社が1兆ドルを超えています。
また、コロナ前のピーク時(2020年1月20日)との比較では、下記の企業の躍進が目立ちます。
- 6位:テスラ
- 8位:エヌビディア
- 11位:TSMC
- 25位:貴州茅台酒(Kweichow Moutai)
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