こちらのページではインドの長期的なポテンシャルについて紹介しています。
インドは人口が2023年に中国を抜いて世界一となった一方、1人当たりGDPは日本の1970年頃の水準です。
名目GDPは2030年頃には日本を抜いて米国・中国に次ぐ世界第3位となる見通しです。
詳細は下記をご覧ください。
インド経済のポテンシャル
インドの人口は2060年まで増加
2023年時点のインドの人口は約14.2億人となり、人口減少が始まった中国を抜いて世界一位となっています。
中国は当面、人口が減少する見通しとなっていますが、インドは2060年頃まで人口増加が続く見通しです。
- 世界の人口見通しについての具体的なデータはこちらを参照:世界の人口推計(人口予測)/人口ランキング
インドの1人当たりGDPは日本の1970年頃の水準
インドの1人当たりGDPは2023年時点で2,500ドル前後の水準です。
米国・日本・ドイツ・英国など先進国の1人当たりGDPは3万ドル~8万ドル前後が一般的です。
BRICsとして一緒に取り上げられることの多いブラジル・ロシア・中国の1人当たりGDPは1万ドル前後で日本の1980年代前半の水準です。
一方、インドの1人当たりGDPの水準は日本の1970年頃の水準です。
- 日本の1人当たりGDP推移と現在の世界の1人当たりGDPの水準はこちらを参照:日本の1人当たりGDP推移と世界の1人当たりGDP
これを見てもインドの長期的なポテンシャルが良くわかります。
インドの名目GDP(1人当たりGDP×人口)は大幅に拡大見通し
2023年のインドの名目GDPは3.5兆ドルで世界第5位です。
当面「人口増加」と「1人当たりGDPの拡大」が続くことになりますので「1人当たりGDP×人口」で計算される「名目GDP」も大幅に拡大することになります。
1人当たりGDPが先進国並みの水準である5万ドルになると現在の20倍の水準です。
人口は現在の13億人から2050年には17億人まで増加する予想となっていますので、30%の増加ということになります。
「1人当たりGDP×人口」は「20倍×1.3倍」となりインドの名目GDPは26倍になる計算です。
非常に大きなポテンシャルと言えます。
近い将来では、2030年頃に名目GDPが日本・ドイツを上回り世界第3位となる見通しです。
インドの高い経済成長率は予想以上に長期化の可能性も(人口動態でみると本当に良いのは2022年~2050年)
これまでも高い経済成長が達成してきたインドですが、経済成長において大きな影響を与える「人ロボーナス指数」を確認すると人口動態がインドにとってベストな状況となるのは2022年~2050年頃となっています。
- 人ロボーナスについてはこちらを参照:主要国の人ロボーナスを分析する
よって、インド経済は足元だけでなく長期間に渡って大きな成長が期待できます。
インド経済の安定性は年々増している
国債の格付けは長期的に格上げが続いており、投資適格級のBBB格となっています。
また、外貨準備高も2000年代以降大幅に増加しており経済の安定性は増しています。
- インドのマクロ経済データについてはこちらを参照:新興国マクロデータ推移
- 主要国の国債格付はこちらを参照:世界の国債格付け(ソブリン格付け)一覧
- 外貨準備高の推移と各国のランキングはこちらを参照:世界の外貨準備高の変化(1990年・2005年・2018年)
インド経済のリスク要因
インドのリスク要因をまとめて掲載します。
原油によるインフレ率上昇
インドは国内で消費する原油の大部分を輸入に頼っていることと、元々インフレになりやすい体質であることから、原油価格(資源価格)が上昇するとインフレ率が大きく上昇しやすい傾向にあります。
インフレ率が大きく上昇すると経済環境に関係なく利上げなどの金融引き締めを行わなければならなくなり、思わぬ景気悪化を招くケースがあります。
ちなみにインドは2015年にインフレ目標を導入し、4%±2%(2%~6%)に設定しています。
- 主要国のインフレ目標はこちらを参照:主要国のインフレターゲット(インフレ目標)の水準と採用時期の一覧
- インドのインフレ率とインドルピーの関係についてはこちらを参考にしてください:インドルピーの特徴(新興国通貨でありながら非資源国通貨)
インフラ整備が予想以上に進まない可能性
インドは道路・鉄道、上下水道、電力をはじめとする生活インフラの整備が大幅に遅れています。
モディ政権はインフラ整備を積極的にすすめており、これが経済成長にもプラスに寄与しています。
しかし、これまでインドのインフラ整備は思うように進まなかった歴史であったことから注意が必要です。
インフラが整備されないと経済が効率的にならず、先進国になるための長期的な成長にとって阻害要因となる可能性があります。
財政収支と経常収支の赤字
インドは財政収支・経常収支がともに赤字という、いわゆる「双子の赤字」が長期間継続しています。
- インドの財政収支と経常収支の推移についてはこちらを参照:新興国マクロデータ推移
財政赤字については、経済成長も著しいことで名目GDPに対する政府債務は横ばいとなっており、すぐに問題になるレベルではありません。
経常赤字については通貨安やインフレにつながる可能性もあり、注意が必要です。
特に経常赤字の水準が高い時に、原油価格の上昇が重なるとインドルピーは売られやすくなります。
インドルピーは対米ドルで長期に渡り下落トレンドが続いています。
- インドルピーの長期チャートはこちらを参照:インドルピー為替レート(円/インドルピー、インドルピー/ドル)長期推移(チャート・変動要因)