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知識・ノウハウ(株式)

日経平均先物が3月・9月に低く乖離していても割安なわけではないので注意

こちらのページでは「日経平均先物が日経平均と比較して下方乖離する現象」(特に3月・9月)について解説しています。

3月・9月の「第2金曜日(SQ日)~配当の権利付き最終日」は日経平均先物が配当落ち見込み額だけ日経平均より安く推移しますが、先物が割安なわけではありませんので注意してください。

権利付き最終日の翌営業日に配当落ちすると、それ以降は日経平均先物が日経平均とほぼ同値に収れんします。

詳細は下記をご覧ください。

3月・9月の「第2金曜日~配当の権利付き最終日」は日経平均先物が配当落ち見込み額だけ低く推移する

現物株の取引時間中は通常、日経平均先物と日経平均はほぼ同値で推移します。

しかし、下記の期間のみ大きく乖離し、日経平均先物が低く推移します。

  • 3月・9月の「第2金曜日~配当の権利付き最終日」

尚、第2金曜日はSQ算出日ですので、3月・9月の「SQ算出日~配当の権利付き最終日」に日経平均先物と日経平均が大きく乖離することになります。

下記のようなイメージです。

日経平均先物と日経平均株価の乖離

決して先物が割安になっているわけではありませんので注意してください。

例えば2022年では「3月11日~3月29日」「9月9日~9月28日」になります。

この約20日間ずつ合計で約40日間のみ、日経平均先物が日経平均よりも低い水準で推移します。

そして、乖離幅は「配当金の権利落ち予想額」となります。

下記は2017年~2021年における日経平均の配当落ち見込み額の一覧です。

日経平均の配当落ち見込み額の一覧

上記の期間は日本企業が株主還元重視を進めたこともあり、配当落ち見込み額が年々大きくなっています。

3月・9月の「第2金曜日(SQ算出日)~配当の権利付き最終日」に日経平均先物が日経平均株価に対して、配当落ち見込み額の分だけ安くなっていても、割安なわけではありませんので注意してください。

尚、3月・9月以外の月も同様の現象が発生しますが、日本の上場企業は3月決算が圧倒的に多い為、配当落ちの影響は3月・9月が特に大きくなります。

では何故そのようなことが発生するのかを下記で解説します。

日経平均先物が日経平均株価より低く乖離する現象について詳しく解説

2022年3月を例に日経平均先物と日経平均の乖離について解説します。

  • 日経平均先物が下方乖離する期間:2022年3月11日~3月29日(第2金曜日~配当の権利付き最終日)

まず、日経平均先物の限月は3月限・6月限・9月限・12月限です。(ちなみに限月は「げんげつ」、3月限は「3月ぎり」と呼びます)

各限月は「第2金曜日の前営業日」が最終取引日となります。

例えば2022年3月限であれば、最終取引日(第2金曜日の前営業日)は2022年3月10日です。

2022年3月11日(第2金曜日)以降、取引される日経平均先物の限月が2022年6月限に変更となります。

ここでポイントになるのが、3月末の配当落ちです。

権利付き最終日(2022年3月29日)に日経平均の現物パッケージを保有している場合、配当を受け取る権利を得ることができますが、日経平均先物を保有していても配当金を受け取る権利は得られません。

そのため、例えば3月末の配当金が200円と予想されている場合、2022年3月11日~2022年3月29日の間は日経平均先物の方が200円低い値段が付くことになります。

そして、2022年3月30日に現物株が配当落ち(200円下落)することで、日経平均先物と日経平均が同じ価格に収れんします。

日経平均先物の限月変更から配当落ちまでのスケジュール

3月・9月に次いで6月・12月も比較的大きな乖離が発生します。

ちなみに先物価格の理論値は正確には下記の計算式となります

【簡便な計算式(日経平均先物)】

  • 日経225先物理論価格=日経平均株価{1+(金利-予想配当利回り)× 満期までの日数/365}

上段の説明では日本の金利がゼロとして配当のみを考慮しました。

その為、日経平均先物が日経平均より安くなっています。

一方、例えば金利が高い時期の米国はNYダウ先物がNYダウより高くなります。

関連ページ

日本株の配当落ちと日本株ETFの分配金の関係はこちらをご覧ください!(ETFは現物株と同じタイミングで配当落ちはしません)

SQについてはこちらをご覧ください!

日経平均株価の歴史についてはこちらをご覧ください!



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