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知識・ノウハウ(債券)

米国金利上昇時に直接利益を上げるには米国債券ベアファンド(ETF)かCFD

こちらのページでは「米国の金利上昇時に利益を上げるための投資手段」について解説しています。

昔はベアファンド(投信)しか手段がありませんでしたが、現在はETFやCFDなども活用できるようになっています。

コストや利便性を考慮すると「ベアETF」と「CFDのショートポジション」がおススメです。

詳細は下記をご覧ください。

米国の長期金利上昇時に積極的に利益を狙うには米国債券ベアファンド(ETF)

短期金利(政策金利)とは異なり、長期金利はマーケットで変動していますので、短期金利よりも急激で大きく変動することがあります。

2013年のバーナンキショックや2016年11月のトランプ就任決定時などは米国10年国債の利回りが1~2ヶ月で1%以上の上昇となりました。

このように米ドルの長期金利が上昇する時はシンプルに「米国債のベアファンド(ETF)」に投資すると直接的に利益を上げることができます。

米国債券のベアファンド(ETF)商品例

下記に「米国債のベアファンド(ETF)」の商品例を掲載します。

一昔前は投資信託しか存在しませんでしたが、現在はETFのラインナップも増えたことで利便性が高まっています。

通常、米国債のベアファンド(ETF)は2倍~4倍程度のレバレッジがかけられた商品となっています。

金利が上昇した際の「リターンの大小」はこの「レバレッジの高さ」と投資する債券の「デュレーションの長さ」で決まります。

野村ブル・ベアセレクト8(米国国債4倍ベア8)

円建ての公募投資信託です。

米国10年国債(10-Year U.S. Treasury Note)を対象とした先物取引を活用しています。

おおよそデュレーションは10年弱でレバレッジは4倍ですので、米国10年国債利回りが1%上昇すると約10%×4倍=約40%上昇することになります。(超短期間で1%上昇した場合の上昇率です)

特に覚える必要もありませんが、商品名の最後の「8」は単純に第8弾ということです。下記にも記載しますが、ブルベアファンドの場合は、投資対象が上下に動くとどんどん基準価格が低下していきます。よって、数年に一度、ファンドを償還して同じ商品を再設定する必要があるため、このような形になっています。

Direxionデイリー20年超米国債ベア3倍ETF(TMV)

米ドル建てのETFです。

「NYSE 20年米国債指数」の値動きの反対の3倍のパフォーマンスに連動するETFです。

20年国債のデュレーションは約18年程度となりますので、米国20年国債利回りが1%上昇すると「Direxionデイリー20年超米国債ベア3倍ETF(TMV)」は約18%×3倍=約54%上昇します。(超短期間で1%上昇した場合の上昇率です)

上記の野村ブル・ベアセレクト8(米国国債4倍ベア8)と比較すると、レバレッジは3倍と低くなっていますが、投資対象が20年債で、野村ブル・ベアセレクトより長い債券となっているため変動率はこちらの方が大きくなります。

また、投信は終値ベースの取引となりますが、ETFはリアルタイムで取引ができるなど、利便性を考慮するとETFがおススメです。

ベアファンド(ETF)の注意点

ブルベア・ファンドの注意点としては例えば「野村ブル・ベアセレクト8(米国国債4倍ベア8)」であれば、「日々の基準価額の値動きが米国の長期国債市場の日々の値動きの概ね4倍程度反対となる投資成果」となっているため、2日以上離れた場合は、完全に4倍の動きとはならない点は注意が必要です。

「Direxionデイリー20年超米国債ベア3倍ETF(TMV)」の場合も同様です。

これはどのブルベアファンドにも当てはまる話で、投資対象が上下にトレンドが出ずに横にジグザグに推移するとパフォーマンスは低下します。

また、債券のベアファンドのみに該当する注意点としては、債券を空売りしている状態になりますので、ネガティブキャリーといって債券を購入した場合に得られる利回りを逆に支払うのと同じ経済効果になります。

よって、特にレバレッジが高いベアファンドはあまり長期で保有することはおすすめできません。

長くても数か月で金利上昇のトレンドに乗って利益を狙う取引に適しています。

債券ETFの空売りも理論的には有効

東証に上場しているETFの中で債券に投資するETFがあります。

  • 上場インデックスファンド米国債券(為替ヘッジなし)【1486】
  • NEXT FUNDS ブルームバーグ米国国債(7-10年)インデックス(為替ヘッジなし)連動型上場投信【2647】
  • MAXIS米国国債7-10年上場投信(為替ヘッジなし)【2838】

これらを空売りすることで、米国の金利上昇時にリターンを上げることができます。

ただし、国内ETFは流動性が極端に低いもの多いので、指値などをして慎重に売買する必要があります。

また、逆日歩にも注意が必要です。

CFDで債券ショートもおすすめ

取引業社(証券会社)によりますが、「CFD」で米国債や日本国債を取り扱っている場合があります。

ちなみに日本でおなじみのFXはCFDの為替版です。

CFDは為替(FX)だけでなく株式・債券・コモディティなど様々な資産クラスがあります。

CFDでは売り(ショート)から取引が可能であるため、債券をショートしておけば金利上昇時に利益を上げることができます。

また、レバレッジも活用できますので、上記で紹介したベアファンド(ETF)と同様の効果が期待できます。

CFDは低コストで利便性も高くおススメの取引です。

また今後、取り扱い商品もどんどん増えていくと思われます。

どこかで口座を開設しておくことをお勧めします。

【参考①】米国の短期金利上昇時に対応できるバンクローン

金利上昇に強い商品として代表的なものに変動金利の「米国バンクローン」があります。

一般的にクーポンは3ヶ月LIBOR+スプレッドになりますので、米国の短期金利が上昇するとインカム収入が連動して上昇します。

また、短期金利が上昇するということはFRBが米国マクロ景気に自信があり、FFレートの利上げを行っているということになりますので、通常はスプレッドもタイトニングすることでバンクローン価格にプラスに働きます。

ただし、FFレートの利上げは通常、6週に1度(年間8回)行われるFOMCで行われるため、急激に上がるわけではなく数か月~数年といったスパンで短期金利が上昇していきます。

よって、米国10年国債等の長期金利のように1か月で1%上昇ということは通常ありませんので、米国の金利上昇で積極的に利益を狙うという商品ではありません。

じっくり金利上昇のメリットを享受する商品です。

【参考②】日本国債の債券ベアファンドも存在

上記で米国の金利が上昇した際に利益が取れる米国債のベアファンドを紹介しましたが、日本の金利が上昇した際に利益が取れる「日本国債ベアファンド」も存在します。

日本の長期金利は一時マイナスとなり、常識的にはこれ以上低下しない水準です。

そういう意味では、日本国債ベアファンドは非常に魅力的な投資対象といえます。

また、米国の長期金利が上昇する際に日本の長期金利も上昇するケースが過去にも多く発生しました。

今後どこかで日本の長期金利が上昇する局面では非常に有効な商品となります。

ただし、上記の米国債ベアファンドで説明している通り、金利がすぐに上がらなくて横にジグザグに動くとファンドのパフォーマンスは悪くなります。

また、ネガティブキャリーの問題も同様に発生します。(ただし日本の場合は金利水準が低いのでネガティブキャリーの影響は相対的には低いと考えられます)

難しいですが、日本の金利が上がり始めたところが最も良いエントリータイミングということになります。

よって、現状では日本国債ベアファンドがあるということを頭の片隅に置きながら、「日銀の動向」や「インフレ率の推移」「米国の金利状況」などに注目しておく必要があります。

タイミングさえ間違わなければ、特にゼロ金利時はこれ以上金利が低下するリスクはほとんどないと考えられるので、非常に武器となる商品です。

日本国債ベアファンドの商品例

  • 日本債券ベアファンド(5倍型)【T&Dアセットマネジメント】

投資対象は長期国債先物です。

長期国債先物は現物の7年利付国債にリンクしますので、デュレーションは約7年となります。

よって、日本の10年国債利回りが1%上昇すると約7%×5倍=約35%上昇します。

上記に掲載の通り、これは瞬間的に金利が上昇した場合の計算で、2日以上離れた場合はちょうど5倍にはなりません。

それでも日本の長期金利がある程度、トレンドを持って上昇した場合には相応のリターンを得られる商品です。

日本国債ベアETFは海ETFで存在しますが、2020年1月現在、国内登録されていないので日本で購入することはできません。

関連ページ

円高で儲けるための商品はこちらを参照してください。



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