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知識・ノウハウ(株式)

日経平均採用銘柄の定期入れ替えを狙ったトレードは可能か(2016年~2019年を検証)

2020年4月16日

こちらのページでは日経平均構成銘柄の定期入れ替えを狙ったトレードで利益を上げることが可能か否かを検証しています。

日経平均株価は225銘柄で構成されていますが、毎年定期的に見直しが行われています。

日経平均株価に限らず、インデックス(指数)の構成銘柄に変化があると、そのインデックス(指数)に連動した運用を行っているインデックスファンドやETFなどからインデックス買い(またはインデックス売り)が発生します。

そして、そのイベントを狙って利益を上げようとする投資家も多く存在します。

例えば、新しく採用される銘柄を予想し、事前に購入して値上がりを狙う投資家は一定割合存在します。

下記ではその様な取引が有効であるかを検証していますが、結論から申し上げると、新規採用銘柄を予想して利益を上げるトレードは、これを狙う投資家が多いこともあり、中々上手くいかないようです。

逆に、除外銘柄を予想して空売りする方が効果的です。

詳細は下記をご覧ください。

それでは、まず最初に日経平均採用銘柄がどのように選ばれているかを確認します。

日経平均の構成銘柄について

日経平均の構成銘柄の変更は上場廃止など構成銘柄に欠員が生じる場合に銘柄を補充する「臨時入れ替え」と年2回(2023年以降)実施される「定期見直し」により行われます。

「臨時入れ替え」は日経平均採用銘柄に倒産・上場廃止などが発生した場合に行われます。

「定期見直し」は2022年までは年1回(10月)でしたが、2023年以降は4月初旬・10月初旬の年2回実施されています。(基本的に4月・10月の第1営業日)

銘柄の選定については「セクター間の銘柄数バランス」に配慮しながら、「市場流動性」の高い銘柄を採用するとされています。

下記では2016年~2019年の定期見直しによる銘柄入れ替えの前後で除外銘柄と新規採用銘柄がどのような推移となったかを確認していきます。

ちなみに1999年までは日経平均採用銘柄は「臨時入れ替え」のみが行われていて、「定期見直し」は行われていませんでした。

そのため、日経平均の構成銘柄がオールドエコノミー銘柄に偏り、時代を反映していないとの批判も多くなり、2000年4月、1度に30銘柄の銘柄入替を発表しました。【伝説の日経平均30銘柄同時入れ替え:2000年4月の30銘柄入替で日経平均は10%は低く見えている

日経平均構成銘柄の定期見直しによる入れ替え(2016年~2019年)

2016年~2019年日経平均採用銘の柄定期見直しによる入れ替えリスト

まず、2016年~2019年の定期見直しによる入れ替えの銘柄リストを掲載します。

日経平均入替リスト(2016年~2019年)

いずれも、銘柄入れ替え日は10月の第一営業日です。

よって、指数組入れはその前営業日である9月最終営業日の終値が基準となります。

そのため、日経平均に連動するインデックスファンドなどは9月最終営業日の終値ベースで銘柄を入れ替えます。

また、除外銘柄と新規採用銘柄の発表は9月5日前後となっています。

定期見直しによる入れ替えは銘柄数が決まっているわけではなく、2017年のように2銘柄の年もあれば、上記にはありませんが2014年のように入れ替えがない年もあります。

それでは次に上記の入れ替え前後でどのような動きとなったかを掲載します。

2016年~2019年の定期見直し銘柄の推移

銘柄入れ替え日である10月第1営業日から前後3ヶ月(7月1日~12月30日)の株価推移を掲載します。

参考として日経平均のチャートも併せて掲載しています。

全て、銘柄入れ替え日(10月第1営業日)の前営業日である9月最終営業日の終値を100として指数化しています。

日経平均銘柄入れ替え2016年

日経平均銘柄入れ替え2017年①

日経平均銘柄入れ替え2017年②

日経平均銘柄入れ替え2018年

日経平均銘柄入れ替え2019年

上記の5例で全て共通する法則はなかなか見つかりません。

唯一、全てに共通しているのは除外銘柄が発表直後に大きく下落している点のみです。

反対に新規採用銘柄は日本郵政やサイバーエージェントのように発表直後でも上昇しないケースがあります。

2017年の「除外:明電舎、新規採用:日本郵政」のようにどちらが新規採用銘柄か分からない動き(イメージと反対の動き)をしているケースもあります。

日経平均の定期見直しによる新規採用銘柄候補はある程度限定されるため、いくつかの証券会社では事前に予想してレポートで公表しています。

それを参考に新規採用銘柄を予想して先回り買いを行う人もが多いです。

しかし、上記の結果から新規採用銘柄を予想して買うのではなく、除外銘柄を予想して事前に空売りしておく方が銘柄が的中した際に確実に利益を上げることができそうです。

一般的なイメージとしては新規採用銘柄が強く推移するように感じますが、そうでないことも多いようです。

イメージ通りの動きをしているのは2017年の「除外:北越紀州製紙、新規採用:リクルートホールディングス」と2019年の「除外:東京ドーム、新規採用:エムスリー」です。

2017年のリクルートホールディングスと2019年のエムスリーは発表前から思惑で上昇し、発表から組入れまでの間と組入れ後もそのまま上昇しています。

一方、除外銘柄は終始下落基調となりました。

このパターンが一般的なイメージの動きだと思いますが、2017年の「除外:明電舎、新規採用:日本郵政」のようにイメージと全く反対の動きなるケースもまります。

除外された明電舎が終始右肩上がりで、新規採用の日本郵政が右肩下がりとなっています。

そのほかのケースでも、除外銘柄が上昇トレンドであったり、新規採用銘柄が下落トレンドであったりと、いずれか一方がイメージとは違う動きになっています。

よって、日経平均株価の定期見直しによる銘柄入れ替えでは除外銘柄を事前に予想し、空売りする手法のみが効果的と言えそうです。

ただし、除外銘柄も除外発表翌日は大きく下落していますが、その後は意外としっかりした動きとなっていることが多いので深追いは禁物です。

具体的な投資戦略としては8月下旬に除外銘柄を予想して空売りを行い、9月5日前後に除外銘柄が発表されたら翌営業に買い戻すといった取引です。

また、予想した除外銘柄が外れた場合も、早めに手じまう方が良いと思います。



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