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インドルピー為替レート(円/インドルピー、インドルピー/ドル)長期推移【チャート・変動要因】

2017年6月4日

こちらのページではインドルピーの長期チャートと変動要因を掲載しています。

インドルピーの歴史を全て確認できます。

インドルピーは代表的な新興国通貨ですが、多くの新興国と異なり資源国通貨ではありません。

そのため、原油など資源価格が上昇するとインフレ率の上昇により、通貨は下落する傾向があります。

逆に原油価格が下落して資源国通貨が下落する局面では相対的にしっかりした推移となることが多くあります。

それではまず、円/インドルピーとインドルピー/ドルの長期チャートから掲載します。変動要因は箇条書きで掲載しています。(下段の方では10年ごとに区切ったチャートを掲載し、変動要因を細かく掲載しています)

インドルピー(INR)の超長期チャート(円/インドルピー、インドルピー/ドル)

円/インドルピー長期チャート

インドルピー/ドル長期チャート

  • 対米ドルでは長期下落トレンドが継続している
  • 下落する要因はその時々でさまざまであるが、財政赤字、経常赤字、高いインフレ率、米国の利上げによる資金還流などが考えられる
  • インドルピーが変動相場制に移行したのは1993年3月
  • ただし、1990年代後半までは強い管理の下での運営が行われており、実質的に完全変動相場制になったのは2000年代以降である
  • 対円では1973年3月の1インドルピー=35円から2020年12月には1インドルピー=1.40円前後まで大幅な円高インドルピー安となっている(約1/25となった)
  • これはインドルピーが対ドルで1ドル=8インドルピーから73インドルピーまで下落(約1/10となった)したことと、円が対米ドルで1ドル=265円から105円前後に上昇(2.5倍になった)したことによる
  • インドのソブリン格付けはこちら:世界の国債格付け(ソブリン格付け)一覧
  • インドルピーの分析はこちらを参照:新興国通貨の5つのチェックポイント
  • インドルピーの特徴についてはこちらを参照:主要通貨の特徴一覧【資源国通貨・新興国通貨・中国関連通貨のどれに該当するか】

インドルピー(INR)の歴史を詳細に解説【10年毎チャート】

円/インドルピー・インドルピー/ドルの為替チャートと変動要因【1970年代】

円/インドルピーチャート1970年代

インドルピー/ドルチャート1970年代

  • インドはもともとイギリス領であり、1975年9月まで英ポンドにリンクしていた
  • 1950年代~1970年代終わりまで長期にわたり経済の低成長が続いていたがインドルピーは管理相場制の中で安定した推移となった

円/インドルピー・インドルピー/ドルの為替チャートと変動要因【1980年代】

円/インドルピーチャート1980年代

インドルピー/ドルチャート1980年代

  • 1980年代は経済成長率が高まった一方で、財政赤字と経常収支の悪化が進み、通貨の切り下げを余儀なくされた
  • 1980年代初めの1ドル=8インドルピーから1980年終わりには1ドル=17インドルピーまで下落した
  • 1980年代前半に関しては米国の高金利政策による米ドル高も対米ドルでインドルピーが下落したことに影響を与えたと考えられる

円/インドルピー・インドルピー/ドルの為替チャートと変動要因【1990年代】

円/インドルピーチャート1990年代

インドルピー/ドルチャート1990年代

  • 1991年7月、外貨準備の大幅減少により2度の通貨切り下げをおこなった
    (7/1に1ドル= 21.2INRから23.1 INRに切り下げ、7/3に1ドル=23.1INRから25.8INRに切り下げ)
  • 1992年3月、2重為替相場制を導入
  • 1993年3月、変動相場制に移行した
  • ただし、内外に変動相場制を公表した1993年3月以降、実態は1ドル=31インドルピー前後で実質米ドルペッグ制をとり、この状況が1995年7月まで続いた。その後も何度か短期的ではあるが実質米ドルペッグとなるような金融政策を行った。
  • 1997年アジア通貨危機の影響を受けインドルピーも下落
  • 管理された変動相場制から完全な変動相場制となったのは2000年頃

円/インドルピー・インドルピー/ドルの為替チャートと変動要因【2000年代】

円/インドルピーチャート2000年代

インドルピー/ドルチャート2000年代

  • インドは多くの期間で経常収支が赤字となっているが、2001年から2004年までは経常黒字が続いたこともあり、インドルピーは対米ドルで初めて上昇した
  • 新興国への投資がブームとなった2005年から2007年もインドへの基本流入が加速しインドルピーは対米ドルで上昇した
  • 結果的に2002年3月の1ドル=49インドルピーから2007年12月の1ドル=39インドルピーまで上昇した
  • この間、高い経済成長率を実現したことや外貨準備高が大幅に増加したこともインドルピー高の要因となったと考えられる
  • 2008年のリーマンショック時は世界的なリスクオフムードの中、他の新興国通貨と同様に下落した

円/インドルピー・インドルピー/ドルの為替チャートと変動要因【2010年代・2020年代】

円/インドルピーチャート2010年代・2020年代

インドルピー/ドルチャート2010年代・2020年代

  • 2011年9月以降、大幅なインドルピー安トレンドとなり1ドル=45インドルピーから2016年12月には1ドル=69インドルピーまで下落した
  • 2011年~2016年の下落要因
    • 2012年~2013年は8%前後の政策金利に対して原油価格高騰からインフレ率が10%前後と高く、実質金利が低下したこと
    • 2013年以降は米国の利上げ観測で新興国からの資金流出が発生してしたこと
    • 経常赤字・財政赤字が続いたこと
    • ただし、ブラジルレアル、ロシアルーブル、メキシコペソなど他の新興国通貨と比較して下落幅は相対的に小さいものとなった
  • 2018年に対米ドルで大きく下落しているのは原油価格の上昇が主な要因(その後、原油価格の下落によりインドルピーは反発)
  • 下記リンク先にも掲載しているが、インドは非資源国であるため、他の多くの新興国とは異なり、原油価格上昇はルピー安となりやすい
  • インドルピーの特徴はこちらを参考にしてください:インドルピーの特徴(新興国通貨でありながら非資源国通貨)
  • 原油価格の推移はこちらを参照:WTI原油スポット価格 長期推移(チャート、変動要因)
  • 2010年代は他の新興国通貨と比較すると相対的には小幅な下落となった。これは原油価格による影響が多くの新興国とは逆になることが影響したと考えられる。
  • また、2000年代〜2010年代にかけて外貨準備高が大幅に増加したこともインドルピーが安定した要因の一つである。外貨準備高の推移はこちらを参照:世界各国の外貨準備高ランキングの変化(1990年・2005年・2020年)
  • 2020年2月~4月、新型コロナウイルスの影響によりマーケットがリスクオフとなる中、インドルピーも下落基調となった。ただし、原油安がインドルピーにとってプラスに寄与し、他の新興国通貨や資源国通貨に比べて低いボラティリティとなった。
  • 2021年~2023年のインドルピーは対円では上昇、対米ドルでは下落となった【通貨の強弱:米ドル > インドルピー> 円】



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