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知識・ノウハウ(債券)

イールドカーブについての分かりやすくて詳しい説明

2016年7月2日

こちらのページでは「イールドカーブ」に関する幅広い情報を掲載しています。

イールドカーブについての基本的な説明からイールドカーブの種類・ロールダウン効果など少し発展した内容まで網羅しています。

「イールドカーブの全て」と言える内容ですので、是非、参考にしてください。

イールドカーブ(利回り曲線)とは

「イールドカーブ」(yield curve)は各期間の債券利回りをつなげた曲線で「利回り曲線」とも呼ばれます。

  • Yield(イールド):利回り
  • Curve(カーブ):曲線

具体的には縦軸に債券利回り、横軸に償還までの残存期間をとったものです。

金利は大きく分けて「短期金利」と「長期金利」に分けられます。

一般的には1年未満を「短期金利」、1年以上を「長期金利」と呼んでいます。

「短期金利」は中央銀行(FRBや日銀)がコントロールしており、「長期金利」は債券市場の市場参加者の思惑や需給により市場原理で変動します。

一般的な経済環境では期間の長い金利ほど高くなるため、イールドカーブは右肩上がり(順イールド)になります。

しかし、景気がピークを打つタイミングや、悪化するタイミングでは右肩下がり(逆イールド)など異なった形状になることもあります。

また、イールドカーブの形状の変化は景気の先行指標と言われることも多いですが、将来の景気動向だけでなく、インフレ率の変化、債券の起債状況なども織り込んでいると考えられます。

次にイールドカーブの種類について解説します。

イールドカーブは3種類

イールドカーブは3種類あります。

  1. 順イールドカーブ
  2. フラット・イールドカーブ
  3. 逆イールドカーブ

それぞれ順番に解説していきます。

①順イールドカーブ

「順イールドカーブ」は短期金利より長期金利の方が高い状態を表します。

多くの期間でイールドカーブは順イールドカーブになります。

今後、金利が上昇するという見方が多く、政策金利に影響される短期金利よりも先にマーケット金利である長期金利が上昇することで順イールドの形状となります。

そして、長短金利の差が大きくなってイールドカーブの傾きが急になることを「スティープ化(スティープニング)」といいます。

逆にイールドカーブの傾きが緩やかになることを「フラット化(フラットニング)」といいます。

イールドカーブスティープ化フラット化

一般的な銀行は短期金利(預金等)で調達し、長期金利で貸出しや債券運用を行うウェイトが大きいことから、イールドカーブがスティープ化すると収益が増加すると言われています。

下段の方で解説している日銀のイールドカーブ・コントロールはイールドカーブのフラット化による金融機関の業績悪化を是正するために導入されました。

②フラット・イールドカーブ(フラットは平らなという意味)

「フラット・イールドカーブ」は短期金利から長期金利までほぼ同じ金利水準で並ぶ状態を表します。

フラット・イールドカーブは景気拡大期から景気後退期への転換点に発生しやすくなっています。

順イールドから逆イールドに移行する際の中間点と言えます。

③逆イールドカーブ

「逆イールドカーブ」は短期金利より長期金利の方が低い状態を表します。

今後、金利が低下するという見方が多く、マーケット金利である長期金利が先に低下することで発生します。

逆イールドは滅多に発生することはありませんが、景気後退局面に入る場合に発生するケースが多くなります。(米国の2000年・2006年・2019年、日本の1989年など)

そのため、景気悪化・株価下落の先行指数としてマーケットで注目されています。

また、逆イールドは長期間継続することはほとんどありません。

これまでのケースでは逆イールドが発生しても、長くて1年前後で解消しています。

逆イールドは景気悪化・株価下落の先行指標 /「2000年・2006年・2019の米国」「1989年の日本」

逆イールドは景気悪化・株価下落の先行指標と言われることが多いですが、こちらでは米国と日本の事例をもとに検証していきます。

まず、下記の2000年3月・2006年8月・2019年8月の米国のイールドカーブをご覧ください。

米国の逆イールド(2000年3月・2006年8月・2019年8月)

2000年3月31日・2006年8月31日・2019年8月14日の米国債イールドカーブは「逆イールド」となっています。

2000年3月31日はITバブルが崩壊する直前、2006年8月31日はリーマンショック前で共に景気がピークに差し掛かっている時でした。

米国の逆イールド(2000年・2006年・2019年)

短期金利は中央銀行(FRB)がコントロールしており、長期金利は市場原理で上下しています。

長期金利が短期金利とほぼ同じか長期金利の方が低くなっているということは、債券市場では将来の景気減速を予測しているということになります。

必ず当たるとは言い切れませんが、2000年代の2つの大きなマーケットの下落(ITバブル崩壊・リーマンショック)は債券市場の見通しが正しかったことを示しています。

下記をご覧いただくと、2回ともその後、FRBが大幅に短期金利(FFレート)を下げたことが確認できます。

米国のイールドカーブの変化

2003/3/31と2009/3/31のイールドカーブを確認すると、短期金利が大幅に低下し、イールドカーブが順イールドになっているのが分かります。

FRBは2001年1月~2003年6月にFF金利を6.5%から1%に引き下げ、2007年9月~2008年12月に5.25%から0.25%に引き下げています。

日本の逆イールド(1989年)

ちなみに日本でも日経平均が史上最高値を付けた1989年12月29日のイールドカーブが逆イールドになっています。(平成バブル)

日本国債の逆イールド(1989年12月29日)

その後の日本の金利や景気がどうなったかは説明するまでもないでしょう。

日本の景気悪化、日本株の歴史的な下落についても債券市場は見通していたことになります。

逆イールドは日本の平成バブル崩壊、米国のITバブル崩壊・リーマンショックと直近の大幅な景気後退を予言していたことになりますので、今後、逆イールドが発生した際には、注意する必要があります。

2019年の米国債逆イールド発生について(その後コロナショック発生)

上記の通り、2019年にも米国債のイールドカーブで逆イールドが発生しました。

最初は2018年12月に5年債と2年債の利回りが逆転、その後、2019年3月に10年債と3ヶ月債の利回りが逆転しました。

ただし、逆イールドの正確な定義は10年債と2年債の利回りが逆転した場合とされ、この時は逆イールドとは認められないという意見が多くありました。

しかし、その後の2019年8月14日に10年債と2年債の利回りが逆転し、完全に逆イールド発生となりました。

これまでのパターンでは逆イールド発生から1年~2年後に景気後退となっていることが多いので、今後の景気や株価の動向には注意が必要です。

【この部分のみ2020年11月追加】

コロナショックの影響で2020年2月~2020年3月にかけて株式市場は大きく下落しました。

今回も逆イールドがマーケット混乱の先行指標となりました。

2020年11月時点ではマーケットは回復傾向ですが、今後の推移をもう少し見守りたいと思います。

イールドカーブコントロールとは

イールドカーブコントロールは黒田日銀の金融政策の1つで、2016年9月から採用された手法です。

正式には「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と言います。

通称が「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」です。

既に行われていた異次元緩和の影響により、一部マイナスに設定された短期金利とともに、長期金利も大幅に低下し、短期金利と長期金利がほぼ同レベルでフラット化した状態となっていました。

長期金利が極端に低水準のなかでのイールドカーブのフラット化は銀行や生保をはじめとする金融機関や機関投資家の業績にマイナスの影響を与えます。

これを是正するために1年以下の短期金利と10年の長期金利という2つの金利をそれぞれ別に操作して、イールドカーブを立たせる(スティープ化させる)目的でイールドカーブコントロールを導入しました。

短期金利については、これまで同様、金融機関が保有する日銀当座預金の一部にマイナス0.1%のマイナス金利を適用して操作します。

そして、新たにコントロールの対象となった長期金利は公開市場操作(オペレーション)を使い、10年物国債の利回りがおおむねゼロ%程度で推移するように誘導することとなりました。

下記は日銀が行うイールドカーブコントロールのイメージ図です。

イールドカーブコントロールのイメージ図

債券のロールダウン効果(ローリング効果)とは

次に、債券のロールダウン効果(ローリング効果)について説明します。

順イールドの場合、債券の残存期間が短くなるとともに利回りは低下します。

利回り曲線が変化しないとの前提に立てば、長期債を購入したあと、1年、2年と経過すれば利回りが低下することになります。

利回りが低下するということは債券価格が上昇するということになります。

このように時間の経過とともに債券価格の上昇が期待できることをロールダウン効果と言います。

ロールダウン効果は、順イールドで特に傾きが急(スティープ化)になっている場合に効果が大きくなります。

ロールダウン効果の例

  • 現時点のイールドカーブが1年1%・2年2%・・・5年5%‥・10年10%とします。
    イールドカーブ例
  • 現時点で10年債(クーポン10%・債券価格100)を購入した場合、イールドカーブに変化がなければ5年後の債券価格はいくらになっているでしょうか?
  • 残存5年、クーポン10%で最終利回りがイールドカーブと同様に5%になればいいので債券価格は125になります。
  • 利付債券の最終利回り(%)={クーポン+(償還価格一買付価格)÷残存年数}÷買付価格×100

これがロールダウン効果です。

順イールドでイールドカーブが変化しないという前提であればロールダウン効果が発生します。

さらに傾きが急な場合はより効果が大きくなります。

よって、イールドカーブがそれほど変化しないだろうといった見通しであれば、長期の債券を購入した方が、ロールダウン効果の分だけ特になるということになります。

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