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米国の双子の赤字 を分かりやすく解説/ 過去の推移をチェック

投稿日:2019年6月22日 更新日:

双子の赤字(ふたごのあかじ)とは

米国の双子の赤字(twin deficits)とは、米国の財政収支と経常収支が共に赤字になる状態を表しています。
(経常収支の内訳として貿易収支・サービス収支・第一次所得収支・第二次所得収支がありますが、その中でも貿易収支の赤字が問題視され、双子の赤字と言った場合、財政収支と貿易収支の赤字をさすこともあります。ただし、どちらもほぼ同じ意味と考えて問題ありません。)

双子の赤字は1980年代のレーガン政権時に注目されました。

この時は大型減税による財政赤字拡大と内需過熱による貿易赤字(経常赤字)拡大により、双子の赤字が発生し、大きな問題となりました。

その後、経常収支改善のため、米国が主導する形で、日米欧の「プラザ合意」でドル高を是正しました。

大幅なドル安(円高)により金融マーケットにも大きな影響を与えることになりました。

その結果、米国の経常収支は1980年代後半に改善傾向となり、1991年には黒字となりました。

また、財政収支も1990年代後半から2000年代前半にかけて一時的に黒字となりました。

しかし近年、経常収支と財政収支は共に赤字となり、米国の双子の赤字が恒常化しています。

金融マーケットへの影響を考えても双子の赤字の水準感を把握しておくことは非常に有益だと思いますので、下記に米国の財政収支と経常収支の対名目GDP比率の推移を掲載します。

マーケットのリスク要因の把握としてご活用いただければと思います。

米国の財政収支(対GDP比)と経常収支(対GDP比)の推移

米国の財政収支(対GDP比)と経常収支(対GDP比)の長期推移です。

※データ:bloombergより

米国の双子の赤字の推移

双子の赤字が大きな問題となった1980年代で最も赤字が拡大した際のデータがこちらです。
(上記チャートでは赤い点線で囲ってあります)

  • 財政収支(対GDP比):1983年6月の−5.4%
  • 経常収支(対GDP比):1987年6月の−3.25%

上記でも触れましたが、1980年代(レーガン政権時)の双子の赤字は大型減税による財政赤字拡大と内需過熱による貿易赤字(経常赤字)拡大が要因でした。これが大きく問題視され、後のプラザ合意につながっています。

次に、これまでで最も赤字が拡大した際のデータがこちらです。

  • 財政収支(対GDP比):2009年12月の−10.1%
  • 経常収支(対GDP比):2006年6月の−5.94%

財政赤字が最大となった2009年は前年に発生したリーマンショック(サブプライムショック)による景気悪化に対応するため、大幅な財政政策を行ったことが要因です。

また、経常赤字が最大となった2006年頃は米国景気が非常に良い時期で、活発な個人消費により輸入が増加し、「貿易赤字拡大→経常赤字拡大」となりました。

このように1980年代の双子の赤字は大きく問題視されましたが、実は2000年代以降の方が1980年代よりも大きな双子の赤字を経験していることが分かります。(しかも財政赤字・経常赤字とも1980年代の2倍近い水準です)

足元は経常収支は横ばいで推移していますが、財政収支は赤字幅が拡大しています。

財政赤字が継続するとその分、国の債務が累積して増加することになります。

米国の政府債務はGDP比でも100%を超え、上昇傾向にあるのでやや注意が必要です。

近年、米国の双子の赤字は恒常化しており、慣れてしまっているところもあります。

現状の水準はある程度コントロールされており、何かすぐに大きな問題が発生する状況ではありませんが、赤字幅がこれ以上拡大する局面では注意が必要です。

財政収支を改善しようとすると増税や財政支出削減など景気にマイナスとなる対応が必要となります。

また、経常収支(貿易収支)改善にはプラザ合意のようなドル安(円高)政策、米国への輸出を抑える関税引き上げなど、こちらも金融マーケットにとってマイナスとなる要素が多く含まれます。

よって、これ以上財政赤字と経常赤字が拡大し、米国の双子の赤字が再び大きな話題になりそうになった場合は注意が必要です。



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