資産保全のために通貨分散は重要です。
円(JPY)の下落に備えて基軸通貨の米ドルを保有ことは一般的になってきましたが、それだけでは不十分な可能性があります。
こちらのページでは『日本(日銀)に対するリスクヘッジとして米ドル投資、米国(FRB)に対するリスクヘッジとして金(GOLD)投資』という内容について掲載していますので参考にしてください。
富裕層はお金を増やすことだけでなくお金を守るニーズも
金融資産が10億円くらいまでの資産家であれば効率的にお金を増やしたいというニーズが強いですが、これが20億円、30億円と増えるにつれてお金を増やすよりもお金を守りたいというニーズが増えてきます。
特に近年は1000兆円以上に拡大してきた国の財政赤字がどこかでクローズアップされ、円(JPY)の価値が低下するのではないかといった懸念が増加しています。
また、順調と言われている米国をはじめとするグローバル経済も潜在的なリスクを抱えていて、大きなショックが起こるのではないかといった声も良く聞かれます。
ここでは将来起こりうるリスクに対して資産を守るためにどのような準備をしておくべきかを掲載します。
日本だけの問題かグローバルの問題かで対応は異なる
日本に対するリスクヘッジは米ドルを保有
まず、日本の借金問題(財政問題)に対するリスクヘッジは米ドルをはじめとする外貨を保有するのが王道です。
国の財政が破綻するのに通貨が買われることは理論的に考えにくいと思われます。
リスクオフになると円が買われて円高になるケースが多いですが、これは日本が破綻しないということが前提となっています。
- 「日本の国債の保有者は大半が日本人なのでショックにはならない」
- 「日本は借金も多いが資産も多いので破綻することはない」
現在はこのような見方が多く、すぐに日本が破綻すると考えている人は少数派ですが、今のままいくと将来どこかで日本の財政問題がクローズアップされて日本売りとなる可能性があります。
戦後に財政が行き詰まり、預金封鎖や財産税が導入されたのも、現在と同じように国の借金が名目GDPの2倍を超えた水準でした。
国の借金が増加している中で、人口はどんどん減少しており、経済規模(名目GDP)は今後、縮小していく可能性も高まっています。
ショックはいつ訪れるか分からないので、それに備えて一定割合は外貨で保有すべきと考えます。
通貨はなるべく分散した方がベターですが、基軸通貨であることと金利水準が相対的に高い点から大部分は米ドルで十分だと思います。
日本だけでなく米国もダメなら金(gold)でリスクヘッジ
次に米国を中心とした世界経済に対するリスクヘッジです。
リーマンショック時をイメージすると分かり易いですが、世界的な景気後退が発生すると世界中の中央銀行が金融緩和を行います。
リーマンショック後は日・米・欧の中央銀行(日銀・FRB・ECB)がいずれもマーケットから債券等を購入し、自身のバランスシートを拡大させました。
日銀、FRB、ECB共に100兆円前後のバランスシートが5倍の500兆円前後まで拡大しました。
そして2020年のコロナショック後もFRBは大きくバランスシートを拡大させました。
現在の世界の通貨制度は金本位制などではありませんので、各通貨は国と中央銀行の信用力がベースとなっています。
その為、中央銀行のバランスシート拡大は中央銀行の信認を低下させることになり、その結果として通貨を下落させる可能性があります。
実際、リーマンショック後はFRB→ECB→日銀の順番にバランスシートを拡大させ、当初、FRBのみがバランスシートを拡大した2008年~2011年は大幅な円高ドル安が進みました。
その後、日銀のみがバランスシートを拡大させた2013年以降は大幅に円安ドル高が進みました。
- 中央銀行のバランスシートと為替の関係はこちら:日米中央銀行(FRB・日銀)のバランスシート(資産残高)推移 / ドル円レートに影響も
このように中央銀行のバランスシート拡大は当該通貨を安くする可能性があります。
そして、FRBのバランスシート拡大により、最も安全性が高いとされる基軸通貨の米ドルでも、その価値に疑念を抱く人が増え、米ドルの代替として金(GOLD)が大きく上昇することになります。
金(GOLD)は2008年10月のFRBバランスシート拡大前は1バレル=700ドル前後でしたが、その後大きく上昇し2011年8月には1バレル=1900ドルまで上昇しました。
金(GOLD)の価格推移等については下記リンクをご覧ください。
過去の推移からも金(GOLD)は米ドルの代替先となっています。
更に近年は米国の財政赤字も増加していますのでより注意が必要です。
結論としてタイトルにもあるように「日本の破綻に備えるなら米ドル、米国(FRB)もダメなら金(GOLD)」を保有することをお勧めします。
今の金(GOLD)価格が安いから儲かりますという話ではなく、リスクヘッジを考えるのであれば一部だけも金(GOLD)を保有すべきという考え方です。
ちなみに金(GOLD)に投資する場合はコスト面や管理面からETFで保有するのがベストです。
例えば下記のような米ドル建てのETFで金(GOLD)を保有すると一石二鳥かもしれません。
- SPDRゴールドシェア(GLD)
- iシェアーズ・ゴールド・トラスト(IAU)
更に最近では米ドルのリスクヘッジとして金(GOLD)だけではなくビットコインをはじめとする仮想通貨も注目されています。
- ビットコインの歴史や長期推移はこちらを参照:ビットコイン(BTC)の長期推移【チャートと変動要因】