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米国スタグフレーション(70~80年代)の忘備録【株価・金利の推移】

2025年4月12日

こちらのページでは1970年代~1980年代にかけて発生した米国の「スタグフレーション」の際に株価や金利がどのように変化したかを忘備録として掲載しています。

  • スタグフレーション(stagflation)は不況(Stagnation)とインフレーション(Inflation)が同時に発生することを意味します

米国スタグフレーションの時期【①1973年9月~1975年3月・②1979年3月~1982年9月】

下記は1970年代~1980年代の米国の実質GDP成長率(対前年同期比)とインフレ率(CPI)の推移です。

スタグフレーション時の米国実質GDP成長率とインフレ率(CPI)のチャート

下記2つの条件を同時に満たす局面をスタグフレーションと定義しています。

  1. 実質GDP成長率がゼロ近辺~マイナス
  2. インフレ率(CPI)が5%を超える

上記条件を満たす、いわゆる「スタグフレーション」といえる期間は下記の2つの期間となりました。

  • ①1973年9月~1975年3月
  • ②1979年3月~1982年9月

下記ではこの2つの期間に株価(S&P500指数)や金利(FFレート・10年国債利回り)がどのような変化となったかを確認します。

米国スタグフレーション時の株価推移(1970年代~1980年代)

1970年代~1980年代における米国株(S&P500指数)の推移です。

米国スタグフレーション時の株価(S&P500)チャート

①の期間において、その直前の高値(1972年12月)から同期間中の安値(1974年9月)までS&P500指数は46%の下落となりました。

②の期間においては特に大きな下落はなく、当該期間の最初(1979年3月)と最後(1982年9月)を比較しても株価は上昇しています。

実質GDP成長率の落ち込みとインフレ率の上昇は①より②の方が大きなものになっていますが、株式市場は①の時に大きく下落し、②の時はほぼ影響がないという結果になっています。

スタグフレーション①が終了した後、比較的短期間で②が発生したことで投資家に免疫ができていたのかもしれません。

ちなみに①の期間で株価下落後に1972年12月の高値を次に回復したのは1980年7月であり9.5年を要しました。

米国スタグフレーション時の金利推移(1970年代~1980年代)

1970年代~1980年代におけるFFレートと10年国債利回りの推移です。

米国スタグフレーション時のFFレートと米国10年債利回りのチャート

スタグフレーション①(1973年9月~1975年3月)の期間におけるピーク時の値です。

  • FFレート:13%(1974年5月)
  • 10年国債利回り:8.11%(1974年8月)
  • インフレ率:12.3% (1974年12月)

スタグフレーション②(1979年3月~1982年9月)の期間におけるピーク時の値です。

  • FFレート:20% (1980年3月・1981年5月)
  • 10年国債利回り:15.84% (1981年9月)
  • インフレ率:14.8% (1980年3月)

①の期間においてFFレートは最高で13%まで上昇していますが、10年国債利回りは最高でも8%程度の上昇となっています。

インフレ率も12%超まで上昇していたことを考えると長期金利(10年国債利回り)は相対的に低く抑えられた形となりました。

②の期間ではFFレートは20%、10年国債利回りは約16%まで上昇しました。

インフレ率のピークは約15%ですので①と比較しても長期利が相対的に上昇しています。

関連ページ

「スタグフレーション」以外のマーケットイベントにおける各資産クラスの最大下落率は下記を参照。

「ITバブル崩壊前」「リーマンショック前」と同様に「コロナショック前」にも米国債のイールドカーブが逆イールドとなっていました。

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