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GPIFの役割を勘違いしている人が多い/年金財政の中心ではなく補完的役割

2018年9月17日

「世界最大の機関投資家」「世界最大の年金基金」として度々話題になるGPIF。

「Government Pension Investment Fund」の頭文字をとったもので、日本語名は「年金積立金管理運用独立行政法人」という、とんでもなく覚えにくい名称です。

こちらのページではGPIFの役割やポートフォリオの変遷についてまとめております。

世の中ではGPIFの役割を勘違いしている方も多いようです。

日本の公的年金は賦課方式/GPIFは年金財源の補完的な役割

過去にもマーケットが低迷すると「株安・円高で年金財政が崩壊する」といった報道を目にしたことが何度もあります

たしかにGPIFの運用資産は2019年9月末で約161兆円と巨額であり、株安や円高が進むと数兆円~数十兆円の資産が目減りすることもあるので、そのように言いたくなる気持ちも分からないではありません。

しかし、基本的な話から説明すると、日本の公的年金制度は「賦課方式」と呼ばれる世代間扶養が原則です。

自分で積み立てた年金原資を運用して受取るのではなく、現役世代が支払った年金を高齢者が受取る仕組みです。

現役時代に支払った掛け金をGPIFが運用して将来受け取るという仕組みではありません。

よってGPIFが運用している資金が年金財政の中心になっているのではなく、あくまで調整弁でしかありません。

GPIFの運用資産が161兆円と巨額であるため、その資産が年金支払いの中心と勘違いしやすいのですが、2018年度の公的年金の給付総額は55兆円もあります。

GPIFの運用資産が中心ですと3年も持たずに財源がなくなります。

GPIFは賦課方式(世代間扶養)による年金給付において不足がある場合に、年金特別会計に納付することで穴埋めする役割です。

現在ある161兆円は過去に国民が納めた保険料のうち、年金給付に回されずに余った分とその運用益です。

ちなみに2018年度は年金会計が不足したため、7,300億円を年金特別会計に納付しています。

55兆円の内、7,300億円ですので年金給付の1.3%程度です。

もちろん、少子高齢化が進むことで今後、必要金額が増えていく可能性はあります。

ちなみに年金の財政計画では今後100年間の年金給付の内、10%をGPIFの運用収益で賄うことが前提とされています。

よってGPIFの資産が株安円高によって短期的に減少しても、直ちに年金財政に影響を与えるわけではありません。

ちなみに2001年の市場運用開始以来の累積収益は67.9兆円となっています。

やはり国際分散投資を長期で行えば儲かる可能性が高いのでしょうか。

今後、余程マーケットがクラッシュしても累積収益がマイナスになることは中々ないと考えられます。

マーケットが下落した時に「年金財政の破綻」と批判したり、騒ぎ立てることはもうやめましょう。

知識不足を露呈するだけでかっこ悪いです。

GPIFの基本ポートフォリオの変遷

上記にも掲載しましたが、マーケットが調整するたびに「年金財政の破綻」「年金資産でバクチ」と騒ぎ立てる人が出てきます。

その中にはGPIFのポートフォリオが徐々にリスクを高めた構成に変化させていることを批判する人もいます。

個人的には現在のポートフォリオはバランスが取れてちょうど良いと感じています。

下記にGPIFの基本ポートフォリオの変遷を掲載します。

GPIF基本ポートフォリオ

GPIFのポートフォリオの推移を見ると、国内債券の比率を引き下げて、国内株式・外国債券・外国株式の比率を高めてきたことが分かります。

GPIFと同じような機能である「カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)」と「カナダ年金制度投資委員会(CPPIB)」のポートフォリオデータはこちらです。

著名年金基金運用データ

また、世界最大のソブリン・ウェルス・ファンドである「ノルウェー政府年金基金グローバル」のポートフォリオのデータはこちらをご覧ください:ノルウェーSWFは国民1人当たり2,000万円の余剰資金をプール(日本は国民1人当たり800万円の借金)

ちなみに、ノルウェー政府年金基金グローバルは「年金」という名称が入っていますがGPIFのような純粋な年金のためのファンドではなくSWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)としての性格が強くなっています。国の財政が不足した時に補填する役割です。

反対にGPIFをSWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)と紹介する人がいますが、GPIFはSWFではなく、純粋な年金基金です。

いずれにしても、世界で著名な年金基金やSWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)は株式の比率がかなり高めとなっています。

年金基金やSWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)は超長期の運用が可能ですので、資本主義経済が破綻しない限りにおいては株式の比率を高水準にすることは理にかなっています。

GPIFも2014年に株式比率を内外合計で50%まで高めたことで、ようやく世界基準のポートフォリオになりました。

日本においては家計が保有する株式の比率が低く、現預金に偏っています。

老後まで10年以上ある人などはGPIFのポートフォリオを参考に株式比率を高めた方が良いのではないでしょうか。

また、iDeCoで運用する場合も、同じ年金ということもあり参考になると思います。特に若い人は最低でもGPIFのポートフォリオ並みに株式を組み入れた方が良いでしょう。



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