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知識・ノウハウ(投信)

投信で外国株式や外国REITを買うと配当金が2重課税【2020年から解消】

2016年7月に指摘した「投信の2重課税」の問題。

当サイトがお役に立てたかどうかは分かりませんが、税制改正により2020年1月から2重課税が解消しています。

少なくとも下記で紹介している「日本から直接投資する投信」のケ-スでは外国税額控除により2重課税とならなくなります。

「外国籍投信を経由して投資する投信」の2重課税も解消されると良いのですが、明確な記載がなく、今のところ確認できていません。(仕組み上、2重課税がそのまま残るような気がします)

それにしても、各金融機関の説明資料を読んでいると「これまでは2重課税が発生しており、・・・・」としれっと説明していますが、大半の投資家からすると「そんなの聞いてないよ」といった感じでしょう。

おそらく、金融機関の職員でもほとんどの人が知らなかったと思われます。

下記を見ていただくと分かりますが、2重課税の影響はかなり大きいケースもありました。

いつも思いますが、金融業界は何事にももう少し真剣に取り組むべきだと感じます。

忘備録として2019年12月まで発生していた投信の2重課税について掲載した下記の記事は残しておきます。

投資信託の場合、海外の株式・REITの配当金は2重課税(2019年12月まで)

海外の株式やREITを購入する場合、配当金に対して現地で源泉税が徴収され、さらに徴収後の金額に対して国内で所得税・住民税(20.315%)が課税されます。

投信でなく直接、株式やREITに投資する場合は、外国税額控除という制度があり、確定申告をすることで海外で源泉徴収された税金を取り戻すことが可能です。

しかし、投信の場合はファンド内で配当金に対し源泉徴収された税金は取り戻すことができません。

投信の分配金や解約代金に課税させる分と合わせて2重に課税されることになります。

よって、海外の株式やREITは高い配当利回りが魅力のケースも多いですが、実際の利回りは月次レポートに掲載されている利回りよりも低くなります。

さらに租税条約の関係で「日本から直接投資する投信」と「外国籍投信を経由して投資する投信」で源泉徴収される率が違います。

例えば米国の株式やREITに投資する場合、「日本から直接投資する投信」では10%、「外国籍投信を経由して投資する投信」では30%と大きく違います。

「日本から直接投資する投信」と「外国籍投信を経由して投資する投信」の税率が異なる理由を説明すると、本来、米国株・REITの非居住者の源泉徴収税率は30%ですが、日米の租税条約で日本人が投資する場合は10%となっています。

外国籍投信は多くがケイマン籍やルクセンブルグ籍といったタックスヘイブンで設立されますが、これらの地域は通常、他国と租税条約がないためそのまま30%の税率となります。

「外国籍投信を経由して投資する投信」ではかなり大きなインパクトになります。

月次レポートの配当利回りが5%となっていても「外国籍投信を経由して投資する投信」ではそのうちの30%は取り戻せませんので実質的な配当利回りは3.5%となります。さらにそこから信託報酬を控除すると2%と前後になってしまい、かなりイメージが違ってきます。

さらにその2%分の配当金を投信の分配金として受け取ると20.315%の税金がかかりますので厳密に言うと1.6%程度まで減少します。

※ここでいう「外国籍投信」は主要国との租税条約がないケイマン籍やルクセンブルグ籍のものを指します

投信で株式・REITに投資した場合の海外源泉徴収税率を国ごとに掲載します。(取り戻せない税金)

投信で株式・REITに投資した場合の海外源泉徴収税率(主要国)

最後に海外に投資した場合の源泉徴収税をまとめると下記のようになります、

個別株の場合

  • 租税条約による制限税率(米国株では10%)が源泉徴収されますが、確定申告を行うことで外国税額控除により取り戻すことができます。
  • よって、2重課税を回避できます。

投信の場合(2019年までの取扱い)

  • ファンド内で上記の税率で課税され、取り戻すことはできません。よって2重課税となります。
  • MLPに投資する投信の場合、MLPは上記とは別の取り扱いで35%の源泉税がかかり、取り戻すこともできません。よって、こちらも2重課税となります。

その他

  • 株式・REITだけでなく、海外の国債や社債にも2重課税の問題は発生します。
  • しかし、大半の国では債券に関しては源泉税がかからないようになっているため、基本的に気にしなくても良いと思います。

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