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CATボンドが過去最大の下落 / CATボンドの商品性も分かり易く説明

投稿日:2017年9月22日 更新日:

CATボンドとは、仕組みを解説

CATボンドのCATは「Catastrophe、カタストロフィ/大災害の略」を表します。

CATボンドは大災害債券とも言われます。

CATボンドは一般の債券よりも高い利回りが得られる反面、一定以上の大規模な自然災害(台風・洪水・地震等)が発生した場合に投資家が受け取るクーポン収入や元本が毀損する可能性がある債券です。

いわゆる保険リンク証券の1つで保険会社が引き受けたリスクを証券化した商品です。

イメージとしては毎年発生する台風などは対象にはならず、発生確率はかなり低いが発生した場合の損害が大きいリスクを証券化して債券にしています。

日本でもオリエンタルランドやJR東日本などの事業会社や保険会社をはじめとする金融機関が過去に発行実績があります。

2011年の東日本大震災の際は全共連(JA共済)が発行した「Muteki」という銘柄が個別銘柄として初めて100%全損となりました。(最後の方に発行概要を掲載しています)

100年に1度か2度のような災害を対象としてますので、全体としては損失が発生するリスクはそれほど高くありませんが、偶然ヒットした場合の損失額が大きくなるので個別債券での投資はリスクが高くなります。

よってファンドなどで分散投資が望ましいと言われています。

CATボンドは一般的に残存期間は比較的短く、インデックスベースの平均残存期間は2年~3年程度です。

クーポンは主に変動金利となっています。

多くが格付けを取得していません

CATボンドインデックスの長期推移/ハリケーン「イルマ」で過去最大の下落

チャートは「Swiss Re Cat Bond Index」の債券価格のみの動きを表すPrice Indexとクーポン収入も含めたTotal Return Indexを掲載しています。

CATボンド プライスリターン推移

CATボンド トータルリターン推移

Price Indexをみると過去に何回か下落していることが分かります。

  • 2004年:ハリケーン・アイバン(Hurricane Ivan)
  • 2005年:ハリケーン・カトリーナ(Hurricane Katrina)
  • 2011年:東日本大震災

債券価格は短期的に最大5%程度下落していますが、トータルリターンでみるとほとんど影響がなく、基本的に右肩上がりで推移してきました。

しかし2017年9月はハリケーン・イルマ(Hurricane Irma)とメキシコでマグニチュード8.1の地震が発生したことによる影響は大きく、CATボンド市場で過去最大の下落となりました。

トータルリターン指数でも一時的に約3年前の水準まで下落しており、過去3年分のリターンが一瞬で消えたことになります。

しかし、その後の調査で保険損害推定額が大幅に縮小するとの見通しが公表されたことから、CATボンド指数が約15%下落した9/8以降、急回復しました。

チャートでは見にくいですが、「Swiss Re Cat Bond Index」の債券価格のみの動きを表すPrice Indexは

  • 2017/9/1が93.77
  • 9/8が78.94
  • 9/15が88.23

となってます。

よって、翌週には前週の下落の半分以上は戻したことになります。

CATボンドに投資する公募投信「リビング・アース戦略ファンド(T&Dアセット)」のデータで検証

CATボンドに投資する公募投信がありましたので、そちらのデータを見ていただけるとCATボンドについてより理解が深まると思います。

2017年7月末時点の月次レポートのデータです。

CATボンドポート①

CATボンドポート②

米ドル建てがポートフォリオの90%弱で、残存期間3年です。

大半が変動金利にもかかわらず平均利回りが6.53%ですので、やはり利回りは高いです。

同じ変動金利のバンクローンの最終利回りが2017年7月時点で6.0%程度です。

バンクローンの平均格付けはB~BBですが、これよりスプレッドが大きくなっていることになります。

CATボンドはバンクローンと比較して流動性が低いと考えられるので、単純に信用リスクだけではなく、流動性リスクもスプレッドに上乗せされていることが高い利回りになっていると考えられます。

CATボンドのリスクは通常の債券の信用リスクとは異なるので、格付けで比較することは適切ではないと考えられ、格付けを取得しているCATボンドはそれほど多くありません

よってCATボンドのリスク度合いは利回り(スプレッド)を参考にして考えるとある程度イメージしやすいのではないでしょうか。

CATボンドの発行事例

全共連(JA共済連)が受益者として発行した米ドル建てCATボンドの発行条件を掲載します。

CATボンドの名称:MUTEKI (ムテキ)

  • 受益者:全共連(JA共済連)
  • 発行日:2008/5/14
  • 期間:3年(償還日2011/5/14)
  • クーポン:LIBOR+4.4%
  • 格付け:Ba2(ムーディーズ)
  • 補償対象:日本国内の地震

償還まで残り約3ヶ月の2011/3/11に東日本大震災が発生し、その影響で上記CATボンドは全損(100%損失)となりました。

CATボンドの名称:Kibou(キボウ)

  • 受益者:全共連(JA共済連)
  • 発行日:2012/2/6
  • 期間:3年(償還日2015/2/17)
  • クーポン:LIBOR+5.25%
  • 格付け:BB+(S&P)
  • 補償対象:日本国内の地震

債券名のKibouは前シリーズのMUTEKIが全損になったことで、今後CATボンドが全損になるような地震が起きないことを願って「Kibou」というネーミングにしたそうです。

PC記事下2つ

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