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日米中央銀行(FRB・日銀)のバランスシート(資産残高)推移 / ドル円レートに影響も

投稿日:2017年2月2日 更新日:

【参考記事】2017/1/31日経朝刊

ドル高促す次の「引き締め」 FRB資産圧縮、時期巡り思惑

トランプ米大統領の就任前後に進んだ円高・ドル安の流れがいったん落ち着いた。市場では再び円安・ドル高に向かうとの見方がくすぶっている。米景気の底堅さが背景の一つだが、流れを後押ししそうなのが米連邦準備理事会(FRB)による資産圧縮をめぐる思惑だ。

「ドル売りは長く続かなかった」(欧州銀行の為替ディーラー)。20日のトランプ氏の正式就任日前後に加速したドル安。通商政策やドル高へのけん制発言など、ドル売り材料がたびたび市場に投下され、一時1ドル=112円台まで円高・ドル安が進んだ。だがそこで円買いは一巡。「やはり市場は米国の経済情勢を踏まえたドル高圧力が強いとみている」(同)

それを後押しするドル高要因として市場で語られ始めているのがFRBの資産縮小だ。「思ったより速いペースで資産縮小が議論されるのでは」。英系証券が27日に東京都内で開いた機関投資家向けの勉強会でそんな感想が漏れていた。

 FRBは量的緩和第3弾(QE3)を終えた2014年秋以降も、保有資産を約4.5兆ドルに維持している。購入してきた米国債や米住宅ローン担保証券のうち、満期がきた分を再投資しているためだ。15年に約3千億ドル、16年に約4千億ドルの償還・再投資があったようだ。

再投資をやめればFRBの資産は減り、金利に続いて量の面でも金融引き締めに向けたメッセージとなる。その「Xデー」はいつになるのか。

米政府公認ディーラーを対象にしたニューヨーク連銀の12月のアンケート調査では再投資停止のタイミングは中央値で「政策金利1.38%」という結果だった。関係者からも「1%に来たら再投資停止を検討すべし」(フィラデルフィア連銀・ハーカー総裁)との声がある。現在0.5~0.75%の政策金利を17年中に「3回」引き上げるというのがFRB内の多数意見だ。この場合、年内に再投資停止が議論の土俵にあがってくる。

FRBの保有資産の平均金利は「2.5~3%くらい」(日銀OB)。金利高(債券価格の下落)による損失を回避するため、早めに資産圧縮に動くのではとの見方もでている。

もっとも、FRBは慎重に再投資停止の議論を進めそうだ。月額850億ドルの資産を買い入れていたQE3。13年5月に当時のバーナンキ議長が買い入れ規模の縮小を示唆するや、債券相場が急落し、新興国を中心に市場が荒れた。FRBは当時、QE3終了後の出口戦略を「再投資を停止した後に利上げ」としていたことが災いした。そこで14年に「まず利上げ」という方針に修正した。

再投資停止にはトラウマがあるのか、バーナンキ前議長は26日のブログで「資産縮小を急ぐ必要性は低下している」とけん制した。市場でも「早期の縮小はメインシナリオではない」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の井上健太シニア・マーケットエコノミスト)との声もある。

市場の警戒感が強い引き締め策である資産縮小。それだけに、再投資の停止に前向きな発言が主要FRB幹部から出れば、米金利の上昇など大きな反応は避けられまい。日米金利差が広がり、円安・ドル高に弾みをつける可能性をはらむ。

日経新聞記事の内容まとめ

  • 今後のドル高要因としてFRBの資産圧縮が考えられる
  • FRBはQE3を終了した2014年以降も、償還した債券の再投資を行っており、バランスシートの資産残高は減少していない
  • 再投資をやめ、資産残高が減少に向かうと利上げと共に、量的にも金融引き締めとなる
  • 現状では早期の資産縮小はメインシナリオではないが、再投資停止に関する要人発言などで金利がさらに上昇する可能性がある
  • そうなると日米金利差の拡大により円安・ドル高が進む可能性

FRB・日銀の資産残高とドル円レート(長期推移)

下記に2006年~2016年のFRBと日銀のバランスシートの資産残高推移と、ドル円レートの推移を掲載します。

FRBと日銀のバランスシート推移

リーマンショック直後の2008年10月からFRBが量的緩和政策第1弾(QE1)を開始し、米国債等の買い入れを始めたことで、FRBのバランスシートが9000億ドルから2兆ドル以上まで一気に拡大しました。

また、2010年11月に追加の量的金融緩和(QE2)を行ったことで2.4兆ドルから約3兆ドルまで拡大しました。

さらに2012年9月に開始したQE3により3兆ドルから4.5兆ドルまで拡大しました。

一方、日銀は黒田総裁が就任後の2013年4月にはじめて量的・質的金融緩和を始めました。

FRBのQE1に遅れること4.5年です。

この間、FRBの積極的な金融緩和により、米国経済は他国に先駆けて回復しました。

一時的にインフレ率がマイナスになる等、デフレ懸念が出てきたため、本格的なデフレに突入しないようインフレ率が2%前後で安定的に推移するまで金融緩和を続けました。

その結果、実質金利が大きくマイナスとなる期間が長期化し、日米の実質金利は相対的に日本が米国を大きく上回ることとなり、大きく円高ドル安になりました。

例えば1ドル=76円程度で推移していた2012年1月は米ドル3ヶ月LIBORO.5%、米国インフレ率2.9%で米ドルの実質金利は-2.4%でした。

一方、日本は円3ヶ月LIBOR0.2%、日本インフレ率0.1%で円の実質金利は+0.1%でした。

米ドルで保有しておくと年率2.4%で目減りすることになりますので、相対的に価値が保たれる日本円に資金が流れることとなり、大幅な円高ドル安になったといえます。

日米実質金利差とドル円レートの関係はこちらを参照してください

FRB・日銀の資産残高、今後の見通し

上記の記事にあるように、FRBは今後、再投資をストップし、資産残高が縮小するステージに入っていきます。

一方、日銀は当面、国債の買入れを継続する見込みで、資産残高は増加していきます。

仮に、国債の買入れペースを緩めたりしてもFRBのように資産が縮小していくステージに入るには時間がかかりそうです。

よって上記の、FRB・日銀の資産残高のチャートは直近クロスしたばかりですが、今後はFRBが下向き、日銀が上向きにどんどんかい離していくことになります。

つまり、米国は引き締め、日本は緩和という流れがより一層強く出てくることになります。

そうなるとリーマンショック後の逆で、日米実質金利差が拡大し、円安ドル高となるような力が働くことになります。

もちろん長期の為替レート推移は購買力平価も確認する必要があるため、あまりにも急激な円安も考えにくいですが、環境的には円高になりにくい地合いであるといえそうです。

購買力平価とドル円レートの関係はこちらを参照してください!

ドル円レートの長期チャートはこちらをご覧ください!

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