こちらのページでは世界で最も有名な株価指標である「NYダウ」について、構成銘柄の変遷や指数の特徴を紹介しています。
構成銘柄のデータは1928年からの超長期データとなっておりますのでNYダウ30種の全歴史を確認することができます。
ちなみに1896年の算出開始から継続採用されていたGEは2018年に除外され、NYダウが現在の30銘柄となった1928年から継続採用されていたエクソンモービルは2020年8月に除外されています。
また、NYダウは「単純平均株価」である為、採用銘柄が株式分割を行うと指数構成比率は低下します。この点は「修正平均株価」である日経平均とは異なります。
詳細は下記をご覧ください。
NYダウは当初12銘柄でスタートして1928年から30銘柄に
NYダウは米国を代表する株価指数で、正式名称は「ダウ・ジョーンズ工業株価平均(Dow Jones Industrial Average)」です。
「ダウ工業株30種平均」「ダウ平均」「ダウ30種」などとも呼ばれます。
1896年5月から算出が開始されましたが、当初は12銘柄でした。
1916年に20銘柄になり、1928年10月1日から現在の30銘柄となっています。
下記では1928年以降のNYダウ構成銘柄の変化を10年毎に掲載します。
NYダウ30種 構成銘柄の長期変遷データ(1928年~)
NYダウ30種 構成銘柄の変化(1920年代以降10年毎の変化)
色付きの銘柄は10年前から変更になった銘柄です。
最新のNYダウ30種 構成銘柄(2024年11月)
下記は直近のNYダウ構成銘柄の一覧です。
※色付きになっている銘柄は上記の2019年1月から変更になっているものです
- 2019年4月:デュポン ⇒ ダウ(分社化による変更)
- 2020年8月:エクソンモービル ⇒ セールスフォースドットコム、ファイザー ⇒ アムジェン、レイセオン(旧ユナイテッド・テクノロジーズ) ⇒ ハネウェル
- 2024年2月:ウォールグリーン・ブーツ・アライアンス ⇒ アマゾン
- 2024年11月:インテル ⇒ エヌビディア、ダウ ⇒ シャーウィン・ウイリアムズ
NYダウ30種 構成銘柄の変化のポイント
2018年6月25日にGE(ゼネラル・エレクトリック)が除外されたことで、1896年の当初から継続して採用されている銘柄はなくなりました。
2019年4月には1935年から継続して採用されていたデュポンも除外となりました。(ダウに変更)
2020年8月にはNYダウが30銘柄となった1928年10月1日から継続して採用されていたエクソン・モービルも除外となっています。(上記表の22番を順番に見て頂けると分かりますが、エクソンモービルは元々スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージーというロックフェラー家が設立した会社で、エクソンに改名後、現在のエクソン・モービルとなっています)
同じく2020年8月には1939年から採用されていたレイセオン(旧ユナイテッド・テクノロジーズ・2020年4月の合併により社名変更)も除外されました。
現在、最も古くから採用されている企業はP&G(1932年~)です。
上記の表を見るとシェブロン(スタンダードオイル・オブ・カリフォルニア)も長期間継続して構成銘柄に採用されているように見えますが、1999/11/1に一度除外されて、2008/2/19に再度、採用されています。
NYダウは米国を代表する優良銘柄を30社集めたものであるため、構成銘柄は時代の変化に合わせ入れ替えを行っていきます。
現在の構成銘柄の内、半数以上が過去20年以内に新規採用された銘柄となっています。
以前は全てニューヨーク証券取引所(NYSE)の銘柄でしたが、1999年に初めてナスダックからインテルとマイクロソフトが採用されました。
現在では、インテル、マイクロソフトに加えて、アップル、シスコシステムズ、アマゾンの合計5社がナスダック市場から採用されています。
NYダウ30種の算出方法と指数構成比率
NYダウは「単純平均株価」
各銘柄の株価を足して連続性を保たせるための除数で割って算出する「単純平均株価」です。
そのため、株価が高いと指数に与えるインパクトが大きくなりすぎることになります。
世界を代表する企業となったグーグルの持ち株会社アルファベットやアマゾンが採用されないのは株価が高すぎるためです。
採用されるには株式分割で単価を下げる必要があります。
実際、アップルも同じような状況でしたが、2014年に1対7の株式分割を行い、1株の価格が下がったことで2015年にNYダウに採用されました。
一方、S&P500指数は時価総額加重平均型の指数です。
ダウ採用銘柄が分割を行うと指数構成比率が低下(アップル分割前後の構成比率を比較)
そして、NYダウの特徴として、株式分割が行われて株価が低下すると、同じ割合だけ指数構成比率も低下する点があげられます。
下記は2020年8月末にアップルが1:4の株式分割を行った際の、分割前後のNYダウ構成比率です。(データ:bloombergより掲載)
(ちなみにアップルの分割と同じタイミングで3銘柄の入れ替えが行われています「エクソンモービル ⇒ セールスフォースドットコム」「ファイザー ⇒ アムジェン」「レイセオン・テクノロジーズ ⇒ ハネウェル」)
アップルは分割により株価が低下した分だけ、指数構成比率が低下しているのが確認できます。
また、指数に対するウェイト(構成比率)が株価の水準に連動していることが分かります。
これは「単純平均株価」の特徴です。
一方、「修正平均株価」である日経平均株価は、株式分割が行われても修正されて連続性が保たれます。そのため、株価の水準に純粋に比例するわけではなく、日経平均採用後に上昇した分は、分割が行われてもそのまま指数構成比率の上昇につながります。
NYダウ30種 銘柄入れ替えの効果
例として1989/1/1時点の構成銘柄に着目します。
まず、1989年1月1日から2019年12月末までのパフォーマンスを確認します。
1989/1/1時点のNYダウは2,168ドルで、2019/9/30は28,256ドルですので30年で約13倍となっています。
さらにこれ以外に毎年2%以上の配当を受け取ることができました。
ちなみに日経平均はこの間、30,159円→23,657円で22%以上のマイナスです。
13倍と-22%ですのでその差は計り知れません。
NYダウに話を戻し、1989/1/1時点の構成銘柄を確認すると、2012年に破綻したイーストマン・コダック、2009年に破綻したクライスラー、2001年に破綻したベツレヘムスチール、2009年に破綻したGMなどが組み入れられています。
銘柄を入れ替えずに当時の銘柄をそのまま保有していた場合、NYダウのパフォーマンスに大きく劣後していたと考えられます。
NYダウの特徴として時代の変化に対応した銘柄の入れ替えが挙げられます。
つまり、NYダウのインデックスに投資していれば、アクティブファンドと同様の効果を得られることになります。
NYダウにコストが低いETFやインデックスファンドで投資するのも良いのではないでしょうか。
- ETFについての説明はこちらを参照してください:低コスト運用商品(ETF等) vs 営業担当者の付加価値
NYダウのETFやインデックスファンドは多くの販売会社で取り扱いがありますし、コストも安くなっています。
NYダウは30銘柄で構成されており、日経平均の225銘柄と比較すると銘柄数が少ないですが、優良大型株が中心となりますので30銘柄の時価総額は日本の東証1部全体の時価総額を上回ります。
米国株に関連するコンテンツの紹介
時価総額上位企業の変化はこちらをご覧ください!
米国株の長期チャートと変動要因の解説はこちらをご覧ください!
「ダウの犬」投資法についてはこちらをご覧ください!