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J-REITの「負ののれん」

投稿日:2016年10月24日 更新日:

「負ののれん」とは

法人が他の会社を買収(吸収合併)する際、一般的にはバランスシート(B/S)上の純資産に一定のプレミアムを上乗せした価格で株式を取得します。

その際、株式の取得価格と純資産価格の差額「のれん」として費用計上されます。

B/S上の株主資本が500億円の会社の株式を時価600億円で取得すると、100億円を「のれん」として費用計上します。株主資本500億円はB/Sに合算されます。

「負ののれん」というのは「のれん」の逆で株主資本より安く株式を取得した場合(イメージとしてはPBR1倍割れで取得した場合)にその差額利益計上した分となります。

のれん=費用ですので、「負ののれん」とは「負の費用」、つまり利益となります

「のれん」のイメージ

  • A投資法人がB投資法人を吸収合併
  • B/S上の株主資本500億円に対し、上場時価600億円で買収(PBR1.2倍で買収)
  • 差額の100億円がのれんとして費用計上される

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「負ののれん」のイメージ

  • A投資法人がB投資法人を吸収合併
  • B/S上の株主資本500億円に対し、上場時価400億円で買収(PBR0.8倍で買収)
  • 差額の100億円が負ののれんとして利益計上される

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J-REITの負ののれん

J-REITは導管性の要件を満たすために利益の90%以上を配当する必要があるため、基本的に内部留保が発生しない仕組みとなっています。

「負ののれん」に関しては配当しなくても導管性の要件に影響しないこととなっており、実質的に「負ののれん」はJ-REITが内部留保(剰余金)を作る唯一の手段となっています。

つまり、簿価ベースの純資産価格より低い価格で他のJ-REITを吸収合併した場合に「負ののれん」という形でJ-REITに内部留保(剰余金)が発生します。

「負ののれん」を有するとどのようなメリットがあるかというと

  • テナント退去等で分配金が減少してしますような状況でも、「負ののれん」を使い分配金の穴埋めができる
  • 含み損がある物件を売却して損失が出ても、「負ののれん」で相殺でき、分配金の減少につながらない

つまり、分配金が安定し、古い物件から新しい物件への入れ替えがスムーズになるということです。

不動産市況が右肩上がりであれば鑑定価格も緩やかに上がっていくため問題にならないのですが、市況が悪化し鑑定価格が取得価格を下回る含み損になると物件の入れ替えが難しくなります。

REITは利回り商品として安定した分配金を投資家が期待しています。

含み損の物件を売却し損失が実現化するとその分、分配金が減少するので大問題となります。

そうすると今度は含み損を抱えたまま、築年数の古い物件が塩漬け状態となり、さらに年数が経過し鑑定価格も下がるという悪循環になってしまいます。

この時、「負ののれん」があれば損失を相殺でき、分配金に影響を与えないまま物件を入れ替え、築年数が浅い物件ばかりでポートフォリオを維持することができます。

結果として安定的な分配金と質の高いポートフォリオが両立できることになります。

「負ののれん」を有するJ-REITの銘柄(2016年9月現在)

アドバンス・レジデンス(3269)
大和ハウス・レジデンス(8984)
ジャパン・ホテルリート(8985)
いちごオフィスリート(8975)
ユナイテッドアーバン(8960)
日本賃貸住宅(8986)
平和不動産リート(8966)
日本リテールファンド(8953)

特に「負ののれん」が多いのはアドバンス・レジデンス(3269)です。

  • 帳簿価格:約4,200億円
  • 鑑定価格:約5,000億円(含み益800億円)
  • 年間の分配金:約120-130億円

上記の規模感のリートですが、「負ののれん」が335億円あります。

もともと2010年3月1日、破たんしたパシフィックホールディングスがスポンサーとなっていた日本レジデンシヤルを吸収合併したことにより432億円の「負ののれん」が発生しました。

合併当初に「負ののれん」を活用して低収益物件の売却と高収益物件の取得を通じた物件入替を積極的に行いましたが、それでもまた、「負ののれん」が335億円残っています。

含み益が大きいのは、負ののれんを活用して、築年数の古い物件を売却→築浅の物件を取得を進めてきた成果でもあります。

当面、減配リスクもなく、物件の含み益も大きいので理想的なリートです。

現在はかなり上昇していますが、大きく調整した場合には長期保有目的で購入したい銘柄です。

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