こちらのページでは米ドルベースの日本株の動きを表す「ドル建て日経平均」の長期チャートを掲載しています。
現在、日本株の売買シェアの内、6割以上が外国人投資家によるものです。
また、日本株の約3割を外国人投資家が保有しています。
- 日本株の売買状況と保有比率はこちらを参照:一目で分かる日本株の部門別売買状況と保有状況(長期推移)
通常、日経平均株価は円ベースで表示されていますが、外国人投資家目線で考えるには米ドルベースの「ドル建て日経平均」を確認する必要があります。
ちなみに、2021年1月には31年ぶりに「ドル建て日経平均」の最高値が更新されています。
下記では「ドル建て日経平均」の長期チャートとポイントとなる動きについての解説も掲載していますので参考にしてください。
「日経平均」「ドル円レート」「ドル建て日経平均」の長期推移
まず、日経平均(円建て)とドル円レートの長期チャートです。
次に「ドル建て日経平均」の長期チャートです。
念のため、「ドル建て日経平均」の計算式を掲載しておきます。
日経平均が過去最高値をつけた1989年12月29日のデータで計算例を掲載します。
- ドル建て日経平均 = 円建て日経平均 ÷ ドル円レート 【270.3(ドル)=38,915(円)÷144(円/ドル)】
長期的に見ると、円建ての日経平均と比較して「ドル建て日経平均」の方が相対的に高いパフォーマンスとなっています。
これはドル円レートが長期トレンドで円高に推移したことが要因です。
ドル建て日経平均にとって円高は上昇(プラス)要因、円安は下落(マイナス)要因となります。
- 長期の円高トレンドの要因はこちらを参照:日銀はなぜ2%のインフレを目標とするのか?理由は円高トレンド是正と財政再建
下記では、「日経平均(円建て)」と「ドル建て日経平均」の最高値・最安値を一覧にしています。
データは全て終値ベースを使用しています。
- 日経平均のザラ場ベースの最高値・最安値はこちらを参照:日経平均株価の長期推移(チャート・変動要因)/ドル円レートとの比較チャート
長い間、「ドル建て日経平均」の最高値は日経平均(円建て)と同じく1989年12月29日でした。
しかし、2021年1月8日、31年ぶりに「ドル建て日経平均」の最高値が更新されました。(最高値は2021年1月21日の277.76ドル)
そして、日経平均の最安値は2009年3月10日の7,054円、「ドル建て日経平均」の最安値は2003年4月30日の65.8ドルとなっています。
2009年3月10日のドル円レートは1ドル=98.7円で、2003年4月30日の1ドル=118.9円より大幅に円高ドル安の水準であったため、ドルベースでは価格が高くなりました。
日本人が米国株に投資していて円安ドル高になった場合と同様の効果です。
ドル建て日本株投資は単純な「ドル建て」より「ドルヘッジ付き」がおすすめ
ドル建て日経平均の発展型としてドルヘッジ付き日経平均という投資手段もあります。
- ドル建て日経平均とドルヘッジ日経平均についてはこちらを参照:【ドル建て日経平均】ドル建て日本株ETF / ドルヘッジ付きがおすすめ
ETF最大手ブラックロックのiシェアーズでも「単純なドル建て日本株投資」の「iシェアーズ MSCI ジャパン ETF(EWJ)」と「ドルヘッジ付き日本株投資」の「iシェアーズ 米ドルヘッジ MSCI ジャパン ETF(HEWJ)」がラインナップされています。
上記に掲載した通り「単純なドル建て日本株投資」は円安がマイナス要因となる為、個人的には「ドルヘッジ付き日本株投資」がおススメです。
【参考:2020年9月30日時点の考察】円高トレンドにより「ドル建て日経平均」の方が高パフォーマンスになったが今後はどうなる?
下記のコメントは2020年9月30日時点ものです。2021年1月8日にドル建て日経平均は過去最高値を更新しましたが忘備録として残しておきます。
ドル円レートは長期的に円高方向に推移しているのが確認できます。
そのため、円建ての日経平均よりも「ドル建ての日経平均」の方が相対的に高いパフォーマンスとなっています。
1970年1月31日と1989年12月29日を比較すると下記のようになります。
- 日経平均(円建て):16.9倍
- ドル建て日経平均:42.2倍
また、最高値から最安値までの下落率はこのようになります。
- 日経平均(円建て):−81.9%
- ドル建て日経平均:−75.7%
いずれも、ドル円レートが円高にシフトした分だけ、ドル建て日経平均の方が良い結果となっています。
また、2020年9月30日の終値と過去最高値との乖離率でも「ドル建て日経平均」の方が良い結果となっています。
- 日経平均(円建て):−40.4%
- ドル建て日経平均:−18.6%
今後、日経平均が2020年9月30日の23,185円から、過去最高値の38,915円に戻るには1.68倍になる必要があります。
一方、ドル建て日経平均が2020年9月30日の220.0ドルから、過去最高値の270.2ドルに戻るには1.23倍です。
円建ての日経平均は高値を更新するにはかなり時間がかかりそうですが、「ドル建て日経平均」はあと一息といったところです。
もちろん、これまでとは異なり、ここから大きく円高になるとは限りません。
少なくとも1ドル=360円から1ドル=70円台まで進んだような大きな円高になる可能性は低いと思われます。(これはイメージ的には1ドル=100円が1ドル=30円前後になる感覚ですので可能性的には高くないでしょう)
また、近年、円建ての日経平均が上昇するときは円安・ドル高になっていることが多くなっています。
これらを考えるとドル建て日経平均が簡単に1989年12月の高値を更新することはそれほど簡単ではないかもしれませんが、期待したいところです。
【「ドル建て日経平均」は2021年1月8日に約31年ぶりに過去最高値を更新しました。】