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知識・ノウハウ(株式)

円高でPBRが上昇? / BPS(1株当たり純資産)が減少するから

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PBR(株価純資産倍率)とは

株価のバリュエーション指標としてPERと並んでよく使われるのがPBR。

「price book-value ratio」の略で日本語では「株価純資産倍率」と言われます。

株価がBPS(1株当たり純資産)の何倍まで買われているかを表すものです。

  • PBR=株価/BPS(1株当たり純資産)

ちなみに

  • PBR=PER×ROE

の関係が成り立ち、同じPERでもROEの高い銘柄は高PBRとなります。

米国株は日本株と比較して恒常的にPBRが高くなっていますが、これはROEが高いことが要因です。

米国株がS&P500等の指数ベースでPBR1倍割れとなることはないと思いますが、TOPIXや日経平均はまれに指数ベースで1倍割れとなり、割安シグナルとしても活用されています。

しかし、PBRを計算する上で分母となるBPS(1株当たり純資産)は株安や円高で減少します。

これを理解していない人も多いようですので下記で解説します。

円高はBPS(1株当たり純資産)の減少要因

PBRの計算の分母にくるのがBPS(1株当たり純資産)です。

よく勘違いされているのですが、「赤字にならない限りBPS(1株当たり純資産)が減少することはない」と思っている人が多いようです。

普通に考えれば、資本は利益の積み重ねである為、赤字になるか、当期利益を超える配当を行うか、(PBR1倍超えで)自社株買いを行わない限り、BPS(1株当たり純資産)が減少しないと思うのも無理ありません。

しかし、実際にはそれら以外にもいくつかの変動要因があります。

その中で影響が大きいのが「為替換算調整勘定」と「その他有価証券評価差額金」です。

企業が保有している外貨建て資産と有価証券の一部は期末に時価評価されます。

ただし、BS(貸借対照表)の資産・負債は時価評価されますが、その損益はPL(損益計算書)には反映せず、資本勘定の「為替換算調整勘定」と「その他有価証券評価差額金」で調整する形となります。

純資産の部内訳

つまり、円高になると「為替換算調整勘定」が減少、株安になると「その他有価証券評価差額金」が減少します

近年は企業の株式持ち合い解消が進む一方、海外子会社への出資など外貨建て資産が増加しています。

そのため、円高による「為替換算調整勘定」はより注意が必要です。

PBR1倍割れで割安と思っていても、決算を超えると急にBPS(1株当たり純資産)が減少し、PBRが上昇して実は割安ではなかったということも考えられます。

もちろんマーケットではその点も織り込んで取引されていますが。。。。

特に円高時は見た目のPBR・BPSに惑わされないことが重要です。

2011年の円高時の影響について役に立ちそうな記事がありましたので忘備録として下記に掲載しておきます。

円高時の日経新聞から引用(忘備録として掲載)

為替換算調整勘定 円高で自己資本が目減り(2011/4/9)

東日本大震災後の3月16日に1ドル=76円台と史上最高値をつけた円相場。3月末は最高値より円安に戻ったものの、1年前と比べ約10円の円高になった。2011年3月期末は「為替換算調整勘定」のマイナスが前の期末に比べて増え、見かけ上、財務内容が悪化する企業が相次ぎそうだ。

連結決算では、海外子会社の外貨ベースの決算書を円換算する必要がある。資産・負債は期末レートで換算するが、資本項目は出資を受けた時点や利益計上時のレートを使う。この円換算で生じる差額を調整する項目が為替換算調整勘定だ。円高が進むと、過去に行った海外投資の円換算額は目減りし、逆に円安になると、円換算額は膨らむ。

為替換算調整勘定は連結貸借対照表の自己資本の1項目として開示する。あくまで会計上の処理で、資金の流出入には関係しない。ただ、円高で調整勘定がマイナスになると、自己資本が目減りし、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は低下する。海外の事業規模が大きいグローバル企業ほど影響を受けやすい。

10年12月末時点で為替換算調整勘定のマイナスが大きい企業を調べると、自動車、電機、商社などが上位に並ぶ。日産自動車の調整勘定は1兆円を超えるマイナス。連結自己資本(2兆8554億円)がそれだけ減っており、為替変動が自己資本へ与えるインパクトが大きい財務構造になっている。



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