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金銀比価(金/銀)の推移 / 金銀比価はマーケットリスクの先行指標?

投稿日:2019年8月5日 更新日:

金銀比価(金/銀)は何を意味するのか

こちらのページで取り上げる金銀比価は過去の歴史上定められていた法定比価ではなく、コモディティマーケットにおける市場比価となります。

金銀比価(Gold/Silver Ratio)は金(Gold)価格を銀(Silver)価格で割ったものです。

データは共にBloombergから取得したマーケットのスポット価格を使用しています。

  • 金銀比価=金価格/銀価格

金価格が銀価格に対して相対的に高くなると金銀比価は上昇します。

よく、金銀比価(金/銀)の高まりはマーケットのリスク上昇を示唆しているという説があります。

金は投資用と宝飾品の需要が全体の約80%を占め、工業用は10%以下です。

一方、銀は需要の約60%が工業用が占めています。

マーケットリスクが高まるとリスクヘッジで金が買われ、同時に経済活動が停滞することから銀の需要が減退し、金銀比価(金/銀)が上昇するという理論です。

これが経験則上成り立つのか検証してみたいと思います。

金価格・銀価格・金銀比価(金/銀)の長期推移から分析

金価格・銀価格・金銀比価の1973年1月〜2019年6月までの長期チャートです。

金銀比価チャート

金価格と銀価格は需要構造が異なるため、値動きが全く異なるかというと意外とそうではなく大きな流れは一致しています。

例えば、金価格が大きく上昇した1980年と2011年は銀価格も同様に上昇している為、金銀比価(金/銀)はそれ程高まっていません。

これまで金銀比価(金/銀)が最も高まったのは1991年です。

1991年2月には金銀比価(金/銀)が100を超えました。

世の中ではこれを湾岸戦争が勃発したことによる地政学リスクの高まりで金価格が上昇したことが要因と言われることが多いですが、実際は上記チャートを見ても分かるように金価格は上昇していません。

よって、銀価格が下落したことが金銀比価(金/銀)の上昇要因です。

1991年は世界的に景気が悪化しており、実質GDP成長率でみると米国が-0.1%、英国が-1.2%、オーストラリアが-1.1%とマイナス成長でした。

全世界ベースでも+2.5%と低い成長率です。

ちなにみオーストラリアは1991年以降は1度もリセッションに陥っていません。

それくらいグローバル景気は悪かったと言えます。

このように1991年の金銀比価(金/銀)の上昇は湾岸戦争によるものではなく、グローバルな景気後退の結果によるものであることが分かります。

そして、リーマンショック後の2008年11月にも金銀比価(金/銀)が80前後まで上昇していますが、この時も金が上昇したというよりも銀が下落したことが要因です。

この時はリーマンショック(2008年9月)の影響で金融マーケットに激震が走り、実体経済も大きく悪化していた時期です。

これらから金銀比価(金/銀)の上昇は必ずしもマーケットリスクが高まっていることを示唆している訳ではなく、景気悪化による銀価格下落の結果であると言えそうです。

逆に金銀比価が直近で最も低かったのは2011年4月です。

この時は世界経済がリーマンショックからの回復期で、上記のチャートを見ても分かる通り銀価格が48.5ドルまで大きく上昇した局面です。

こちらも金価格より銀価格の影響で金銀比価が低くなっています。

上記チャートでも確認できますが、銀価格は金価格に比べてボラティリティが高いことからこのような結果になると思われます。

そして、銀価格の下落は景気悪化に先行せず、一致するか若干遅行します。

よって、金銀比価はITバブル崩壊やリーマンショックの際もマーケットリスクの高まりに対して先行指標とはなりませんでした。

世の中では金銀比価がマーケットリスクの高まりを反映したり、先行指標となるケースもあると言われていますが、上記の分析ではそうなっていませんので、参考程度に見るのが良いでしょう。

ただし、過去の動きから金銀比価が100以上など大きく上昇した時は「金売り+銀買い」のロング・ショート戦略、金銀比価が40以下など大きく低下した時は「金買い+銀売り」のポジションを構築するすることは有効と考えられます。

また、金(Gold)や銀(Silver)に関してはシンプルに安い時にETFで投資するというのも悪くないと思います。

例えばiシェアーズであれば、金(Gold)と銀(Silver)は先物でなく現物型のETFがあるのでスポット価格に連動する投資が可能です。

特に銀はボラティリティが高いため面白いかもしれません。

シンプルに銀(Silver)のETFを買う場合は景気回復局面の初期に投資するのが良いでしょう。
(ただし何年も上昇しないことは普通にありそうですので注意してください)



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