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SKEW(スキュー)指数【別名ブラックスワン指数】の分かりやすくて詳しい解説

こちらのページでは別名ブラックスワン指数とも呼ばれる「SKEW(スキュー)指数」について解説しています。

「SKEW(スキュー)指数」の上昇は株式市場において「テールリスク」「ブラックスワン発生リスク」が高まっている前兆と言えます。

特に長期運用の投資家には有効な指標ですので参考にしてください。

詳細は下記をご覧ください。

SKEW(スキュー)指数とは

「SKEW(スキュー」は日本語で「ゆがみ」を意味します。

「SKEW(スキュー)指数」とは米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出する「市場のゆがみ」を数値化した指数です。

いわゆる「テールリスク」と呼ばれる、「発生する可能性は低いが発生すると大きな損失をもたらすリスク」が起こる可能性を表します。

また、「テールリスク」とほぼ同じ意味で使われる「ブラックスワン」にちなんで「ブラックスワン指数」と呼ばれることもあります。

「ブラックスワン」はマーケットにおいて事前にほとんど予想できず、起きたときの衝撃が大きい事象のことです。

従来、白鳥は全て白色と信じられてきましたが、オーストラリアで黒い白鳥が発見されたことでこれまでの常識が覆され、大きなショックが起こりました。

つまり、「SKEW(スキュー)指数」が上昇するということは、「発生する可能性は低いが発生すると大きな損失をもたらすリスク」(テールリスク、ブラックスワン発生のリスク)が高まっていることを意味します。

「SKEW(スキュー)指数」の算出には、CBOEのオプション取引所のアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)のコールオプションとプットオプションが用いられ、具体的な計算式は非常に複雑なものとなります。(オプションはS&P500指数のオプションが参照されます)

概念としては「アウト・オブ・ザ・マネーのコールオプション」に対し、「アウト・オブ・ザ・マネーのプットオプション」の需要が強くなるとSKEW(スキュー)指数は上昇します。

アウト・オブ・ザ・マネーのオプションとは本質的価値を有しておらず、時間価値のみを有するオプションのことを表します。

「アウト・オブ・ザ・マネーのプットオプション」の需要が増加する例を上げると、日経平均が30,000円の時に20,000円のプットオプション(売る権利)の取引が増加するようなイメージです。

このプットオプションの買い手は日経平均が20,000円以下になると利益が出ます。

その発生確率はそれほど大きくありませんが、大きな変動を予想する人が増えているということになります。

SKEW(スキュー)指数が上昇するということは、マーケット参加者が「テールリスク」「ブラックスワン発生のリスク」が高まっていると考えているということになります。

次に実際のデータを使って、SKEW(スキュー)指数の上昇とマーケットリスクの関連性について検証します。

SKEW(スキュー)指数の推移【SKEW指数は株式投資のリスク管理に使える!】

下記は「SKEW(スキュー)指数」「S&P500指数」の比較チャートです。

SKEW指数とS&P500指数の長期比較チャート(1990年以降の長期推移)

SKEW指数とS&P500指数の比較チャート(長期)

上記の期間で発生した株式市場の大きな下落は下記の通りです。

  • ITバブル崩壊:2000年~2002年
  • リーマンショック:2008年~2009年
  • 米中貿易戦争による下落:2018年末
  • コロナショック:2020年前半
  • 高インフレ・ウクライナ問題:2022年

いずれも株価下落の直前にSKEW指数が上昇しています。

まず、「ITバブル崩壊」前の1998年1月~1999年10月に「SKEW(スキュー)指数」が高水準で推移しています。

ただし、1998年10月に大きく上昇しているのはロシア危機の影響があった思われます。

それでも1999年10月には当時としては高めの124.1まで上昇しました。その後、2000年に入りITバブルが崩壊しています。

リーマンショック」前の2006年1月~2007年5月頃も「SKEW(スキュー)指数」は高水準で推移していました。

その後、株価は下落傾向となり、リーマンショックが発生しました。

そして、「2018年の年末の下落」「2020年3月のコロナショックの下落」「2022年の高インフレ・ウクライナ問題による下落」の際も、事前に「SKEW(スキュー)指数」が高水準で推移していました。

これらから「SKEW(スキュー)指数」が直前の水準から高めに推移しているときは注意が必要といえます。

上記のチャートでは少し見にくいので、下記に『1996年~2009年』と『2016年~2022年』で分割した比較チャートを掲載します。

SKEW指数とS&P500指数の比較チャート(1996年~2009年)【ITバブル崩壊・リーマンショック】

SKEW指数とS&P500指数の比較チャート(1996年~2009年)

この期間はITバブル崩壊とリーマンショックが発生しました。

いずれもその前にSKEW指数が上昇しているのが確認できます。

SKEW指数とS&P500指数の比較チャート(2016年~2023年)【コロナショック前後】

SKEW指数とS&P500指数の比較チャート(短期)

いずれもS&P500指数が下落する直前の「2018年6月~2018年11月」と「2019年10月~2020年1月」「2021年」に「SKEW(スキュー)指数」が大きく上昇しています。

「SKEW(スキュー)指数」が上昇すると「テールリスク」「ブラックスワン発生のリスク」が高まっていると考えて良さそうです。

上記のデータから、必ずマーケットがクラッシュするわけではありませんが、「SKEW(スキュー)指数」が上昇しているときは、リスクが上昇しているという事を念頭に置いて投資を行う方が良いようです。

【参考】SKEW(スキュー)指数の特性

ちなみに「SKEW(スキュー)指数」が100を上回っているということは「アウト・オブ・ザ・マネーのプットオプション」の需要が「アウト・オブ・ザ・マネーのコールオプション」の需要を上回っているという事になります。

これは言い換えると「株価の大幅下落確率」が「株価の大幅上昇確率」より大きくなっていることを意味します。

ただし、オプションはリスクヘッジに使われることが多く、コール・オプションよりプット・オプションの方が多くなりやすい為、SKEW(スキュー)指数は通常、100を上回っています。

そのため、SKEW(スキュー)指数が100を上回っているからといって指数が高いというわけではありません。

SKEW(スキュー)指数は過去との比較で相対的な水準を見るべきです。

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