こちらのページでは投資信託のメリットについてまとめています。
「一般的なメリット」は多くの人が知っている内容だと思いますが、投資信託には意外と知られていない「隠れたメリット」もたくさんあります。
例えば新興国の現地通貨建て債券(ブラジルレアル建て債券など)は直接債券を買うより、投信経由の方が実質的なコストが低くなるケースが多くあります。
下記で詳しく解説していますので参考にしてください。
それではまず、投信の一般的なメリットから紹介します。
投信の一般的なメリット
こちらは一般的に知られている投信のメリットです。
少額から投資できる
株式や債券に直接投資しようとすると1銘柄で最低数万円~数百万円かかりますが、通常の投信は1万円から投資できるものが大半です。
分散投資が可能
株式や債券に投資する際、1銘柄だけに投資するとその銘柄が破たんした場合に大きな損失を被ってしまいます。
投信で複数銘柄に投資することにより銘柄固有のリスクを軽減できます。
プロが運用
投信は株式・債券・為替・REITなど、それぞれ専門のファンドマネージャーが運用し、月次レポート等で運用状況の開示を行います。
倒産隔離
投資信託の関係者として①販売会社(銀行・証券会社等)②委託会社(運用会社)③受託会社(信託銀行)があります。
投資家の資金は信託銀行で銀行の自己勘定とは別の勘定で保管されますので、①販売会社(銀行・証券会社等)②委託会社(運用会社)③受託会社(信託銀行)のいずれかが破たんしても影響がありません。
様々な資産クラスにアクセス可能
新興国の株式や債券、またはヘッジファンドなど、日本人が直接購入できない(購入しにくい)資産でも投資信託を通じて購入することが可能です。
米国REIT・MLP・BDC等も日本の証券会社から直接購入することはできませんが、投信では投資可能です。
投信では全世界のほぼ全ての資産クラスに投資できる環境となっています。
下記は直接投資が難しく、投信を経由することによってはじめて投資可能な資産クラスの例です。
- 米国リート
- MLP
- BDC
- ハイイールド債
- バンクローン
- 物価連動国債
- 新興国株式
- ヘッジファンド
米国REIT・MLP・BDCの個別銘柄が日本で購入できない理由はこちらを参照してください。
投信の隠れたメリット【重要】
こちらは一般的にはあまり知られていない投信の隠れたメリットです。
非常に重要なものが多いので、是非、参考にしてください。
実質的なコストは安い(ファンド内の株式・債券・為替の取引コストが低い)
投信は投資家から資金を集めて大きな金額にし、運用会社の指図で信託銀行名義で有価証券の注文を出します。
購入する株式・債券・為替の売買手数料は一般の投資家のテーブルではなく、大口の機関投資家テーブルが適用され、一般投資家に比べて大幅に割安になっています。
分かりやすい例をあげると、ブラジルレアル建て債券を購入する場合、円をブラジルレアルに変換することになりますが、一般的な証券会社では多くの場合、片道1円~2円の為替手数料がかかります。
- 1レアル=30円でも片道3%~6%程度のコストです。往復では6%~12%のコストになります。
- 一方、ブラジルレアル建て債券に投資する投資信託を購入する場合はファンドとして取引するので、一般的に公開はされていませんが、おそらく往復でも1.0%未満と考えられます。
ブラジルレアルなど新興国通貨が最も極端なケースですが、米ドルや豪ドルをはじめ他の通貨でも同じことが言えます。
日本株式の売買手数料は個人でも安くなりましたが、債券や為替は未だ機関投資家に比べて割高な手数料となっています。
投信の場合、販売手数料や信託報酬が明示されているのでコストが高く感じることもありますが、実は投信を経由して購入する方が大幅に低いコストで取引できることも多くあります。
流動性が低い資産クラスへの投資が可能となる
条件は魅力的だが、流動性が低く売却しようとすると価格が低くなってしまったり、そもそも簡単に売却できないといった資産クラスがある場合、投資信託にすることにより流動性が担保できます。
投信の場合、同時に多くの投資家が解約するといったケースは少ないので、投信の中で一定のキャッシュや流動性のある資産を保有していれば対応できます。
投信にすることで流動性を確保できる資産クラスの例
- 劣後債、優先証券、CoCo債
- 利回りが高いが流動性はやや低い、投資家層が機関投資家などに偏っている
- 転換社債(CB)
- 下落リスクが限定的でキャピタルゲインも期待できるため魅力的な投資対象であるが流動性はやや低い
- 小型株
- 数百万円までなら個別株でも問題なく購入できるが、銘柄によっては数千万円~数億円になると売買が難しいものもある
- J-REIT
- 時価総額上位の銘柄であれば流動性に問題ないが、多くの銘柄では数千万円程度の売買でも難しい場合がある
- 公募増資で大口の購入はできても売却に時間がかかるケースがある
法人の減損リスクを回避できる
一般の事業法人が資産運用を行う場合、購入した株式等の有価証券が下記に該当した場合に減損処理を行う必要があり、法人の運用担当者にとっては最も避けたい事態であります。
- 50%以上下落した場合は強制的に減損処理
- 30%%以上下落した場合は、一定に期間に回復する蓋然性が低いと判断される場合は減損処理
個別の日本株式に投資する場合、減損リスクが問題となります。
- 個別株式を数銘柄~数十銘柄に分散して購入すると、個々の銘柄で上記の減損処理の規定が判断され、該当すると減損になります。
- 個別株の場合は日本株のマーケット環境が良好でも、個別企業の業績や様々な要因で大きく下落するリスクが存在します。
投信の場合は通常数十銘柄に投資しますが、投信全体で1銘柄と見なしますので、日本株全体がよほど大きく下落しない限り、減損になる可能性は低くなります。
また、保有している有価証券が下落し減損になりそうになった場合、平均買付単価を下げる目的で追加の購入(ナンピン買い)を行うケースがあります。
この時、個別銘柄ですと本当にここから購入してもいいのか判断に迷うケースも多く発生します。
すでに購入から半分近くになっている銘柄であり、破たんリスクが有るのではないかといった問題等が浮上してきます。
特にマーケットが悪いときの個別銘柄の判断は本当に難しいものです。
投信であれば日本株全体の水準感で判断できる分、ナンピン買いも行いやすく、結果的に減損処理を回避できるケースが多くなります。
円ヘッジ付き投資が可能となる
債券型の投信を中心に、外貨建ての資産に投資し、為替予約を使い為替リスクをなくす、為替ヘッジ付きの投信が多く存在します。
概ね短期金利の差の分だけヘッジコストはかかりますが、為替リスクを取りたくない投資家にとっては非常に魅力的な商品です。
特に米ドル建て債券は幅広いラインナップ(投資適格債・ハイイールド債・CoCo債・優先証券)があり、これらに為替リスクなしで投資できることは、日本人にとってメリットがあります。
米ドルの短期金利が低く、ヘッジコストが低水準の時はチャンスです。
- ヘッジコストの推移についてはこちらを参照:為替ヘッジコスト長期推移(円/ドル・円/ユーロ)【データ更新用】
通貨選択型で効率的に投資できる
例えば「日本株式100万円と豪ドル債100万円」を購入することは、「日本株の豪ドルヘッジ型投信(豪ドルコース)100万円」を購入することと同じ効果になります。
後者の方が投資資金は半分で販売手数料等のコスト安く効率的です。
また、日本株と豪ドルのどちらかがプラスでどちらかがマイナスになった時、自動的に相殺していることになるので余計な税金を払う必要もなくなります。
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