投資目的での金(GOLD)の保有はETFがベストです。
ゴールドETFは金地金(現物)と比較してコストが低く、現物の裏付けがあるETFですので原油ETFのような先物のロールコストの問題も発生しません。
こちらのページでは金(GOLD)を保有する際におススメのETFを紹介していますので参考にしてください。
- 日本から買える代表的ETFの一覧はこちら:日本から買える代表的ETF / ETFで国際分散投資
金(ゴールド・GOLD)を資産防衛として保有
金(GOLD)はリスクオフ時に資産の逃避先として注目されます。
個人的なイメージとしては基軸通貨である米ドルの信認が怪しくなってきたときに金(GOLD)が注目されます。
円が心配なら米ドル、米ドルも心配なら金(GOLD)といった感じです。
- 詳しくはこちらを参照してください:日本の破綻は米ドルでリスクヘッジ、米国(FRB)もダメなら金(GOLD)でリスクヘッジ
実際、2008年のリーマンショック後、米国の金融緩和などの影響で金は大きく上昇しました。
FRBが国債等の資産買入れでバランスシートを拡大させたことで、FRBの信認が低下し、米ドルの価値低下と共に金(GOLD)が大きく上昇しました。
- FRBのバランスシート残高の推移はこちらを参照してください:日米中央銀行(FRB・日銀)のバランスシート(資産残高)推移 / ドル円レートに影響も
このように、リスクオフ時のヘッジ手段の1つとして金(ゴールド・GOLD)は注目しておくべき資産クラスです。
金(GOLD)は金利を生まないため保有をためらう人も多いですが、富裕層であればリスクヘッジのために資産の5%を目安に保有しておくと良いでしょう。
- 金(GOLD)価格の長期推移や今後の見通しについては「金(GOLD)価格の長期推移と見通し(需要と供給から考える)」を参考にしてください。
下記では金に投資する際、具体的にどの商品が良いかを検討してみます。
金地金(現物)はコストが高いので注意
昔は金(GOLD)を保有する場合、金地金(現物)を購入することが一般的でした。
しかし、ETFが誕生した現在では現物の金を売買・保有することはコスト面からはあまりお勧めできません。
金の現物取引の場合、顧客が購入する「小売価格」と顧客が売却する「買取価格」がそれぞれ設定されており、「小売価格」と「買取価格」の差がスプレッドと呼ばれる取引コストになります。
通常、スプレッドは1.5%~2%位が多いようです。
例としてはある日の「小売価格」が1グラム= 4980円、「買取価格」が1グラム=4895円といった感じです。
また、金地金の売買を行う際、100グラム以下や500グラム以下といった小口の場合は、取扱い会社ごとに決められた売買手数料がかかります。
おすすめETFは「純金上場信託(金の果実)」「SPDRゴールドシェア」「iシェアーズゴールドトラスト」
東証に上場されているだけで複数のゴールドETFが存在します。
また、金(GOLD)はドル建てで取引されていますので、米国市場のドル建てのETFに投資するという選択肢もあります。
信託報酬はいずれも0.4%~0.5%程度と割安です。(ETFの中では若干高めですが)
その中で、流動性が相対的に高く人気のあるETFとして「SPDRゴールドシェア(GLD)」「iシェアーズゴールドトラスト(IAU)」「純金上場信託・金の果実(1540)」があげられます。
- 「SPDRゴールドシェア」:ステートーストリートが運営しており、ニューヨーク(GLD)に上場。東証上場の円建てETF(1326)もあり。
- 「iシェアーズゴールドトラスト」:ETF最大手ブラックロックが運用しており、ニューヨーク(IAU)に上場
- 「純金上場信託・金の果実」:三菱UFJ信託銀行が運営しており、東証(1540)に上場
各ETFともに現物の金を保有・裏付けとしているETFです。
よって、先物のロールコストの問題は発生しません。(これが重要です)
- 先物のロールコストについては「原油(コモディティ)ETFは先物のロールがあるので注意が必要」を参照してください。
また、「純金上場信託・金の果実(1540)」の場合は1回あたり1kg~5kgの範囲内でETFの受益権を金地金に転換(交換)する制度もあります。
手続きとしては投資家が三菱UFJ信託銀行に転換(交換)請求すると、カストディアンである三菱商事RtMジャパンに連絡がいき、三菱商事RtMジャパンから投資家に金地金が送られます。
何となくですが、三菱グループの主要企業の中で手続きが完結するので安心感があります。
また、この制度があることにより感覚的に金(GOLD)そのものを保有している実感があるように感じます。
棲み分けとしては、円ベースで投資する場合は「純金上場信託・金の果実(1540)」、ドルベースで投資する場合や超大口の場合は「SPDRゴールドシェア(GLD)」か「iシェアーズゴールドトラスト(IAU)」と考えておけば良いでしょう。
- 円ベースでの投資:純金上場信託・金の果実(1540)
- ドルベースでの投資:SPDRゴールドシェア(GLD)、iシェアーズゴールドトラスト(IAU)
投信は証券口座がなくETFが購入できない場合に検討
ETFを購入するには証券口座が必要です。
証券口座を保有しておらず、銀行などで購入する場合は投信を検討してください。
三菱UFJ純金ファンド【愛称:ファインゴールド】
代表的なETFである純金上場信託(現物国内保管型)(愛称:金の果実)に投資する投資信託です。
信託報酬がETF(金の果実)より0.5%高いので、パフォーマンスは純金上場信託(現物国内保管型)(愛称:金の果実)から年率-0.5%した収益率になります。
また、販売会社によっては販売手数料がかかる場合もあるので、証券口座を保有している方はETFを直接購入する方が良いです。
i-mizuhoゴールドインデックス
LBMA金価格(円換算ベース)に連動する運用成果を目指すファンドで、具体的には「iSharesゴールド・トラストETF(IAU)」に投資しています。
こちらも当たり前ですが、コスト面ではETFより高くなるので、証券口座を保有している方はETFを直接購入する方が良いです。
円ヘッジ型金(ゴールド・GOLD)ファンドはヘッジコストが低い局面で使える
ドルベースの金ETFに円ヘッジをつけた投信が存在します。
ドル円のヘッジコストが低い局面では使えるので紹介します。
- ドル円のヘッジコストの推移はこちらを参照:為替ヘッジコスト長期推移(円/ドル・円/ユーロ)【データ更新用】
ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
NY上場の「SPDRゴールドシェア(GLD)」に為替ヘッジをつけた投資信託です。
金(ゴールド・GOLD)は米ドルの代替資産としてみられ、米ドルと反対の動きになるケースが多くあります。
リーマンショック後も米国の大規模金融緩和により、米ドルが安くなると同時に金は大きく上昇しました。
しかし、日本人が金投資を考える場合、金が上昇しても円高ドル安となってしまっては、上昇分が相殺されてしまいます。
この時、円ヘッジ付きのゴールドファンドであればヘッジコストはかかりますが、金の上昇をそのまま享受できます。
日米金利差が拡大していてヘッジコストが高い時に長期保有してしまうと効果は減ってしまいますが、それでも金が上昇すると思った時に数か月から1年位のスパンで使うには問題ないと思います。
もちろん一番効果があるのは、リーマンショック後のように米国の金利も低く、ヘッジコストが安い中で、金が大きく上昇する局面となります。
最後に、近年では米ドルのリスクヘッジ手段として金(GOLD)に加えてビットコインに注目している人も増えています。
- ビットコインについてはこちらを参照:ビットコイン(BTC)の長期推移【チャートと変動要因】