こちらのページは2015年~2018年頃に話題となった「毎月分配型投信」の議論について忘備録として掲載しております。
多くの毎月分配型投信はポートフォリオのインカム収入(利金・配当)に比べて高い分配金を出していたことから、一部では「タコ配は良くない」との批判もありました。
2017年頃から金融庁からの圧力もあり、各金融機関が販売を自粛したことで毎月分配型投信の残高は減少傾向となりました。
一方、高齢者を中心に根強い人気があるのも事実です。
個人的には、仕組みを十分理解した上で、上手く活用すれば良いのではないかと考えています。
毎月分配型(タコ配)はだめなのか?
タコ配とは
毎月分配型の投信はお勧めできないという意見の専門家も多いようですが実際のところはどうなんでしょうか?
分配金利回り(年間の分配金/基準価格)を極端に高くしている投信も多い中、SNS・雑誌等で有識者といわれる方が「分配金を多く出す投信はタコ配になっているケースも多いのでよくない」と発言しているケースを見かけます。
「タコ配」(タコ足配当)とは投資信託が払い出す分配金の内、ポートフォリオのインカム収入(債券の利金・株式の配当等)を超える部分を表します。
理論的にはタコ配を出した分だけ、投資元本が減っていく形となります。
ちなみに投信の分配金の場合、購入単価を下回る部分の分配金は特別分配金として課税対象にはならず、単なる元本の払い戻しとなります。
特別分配金の制度は、利益ではない部分にまで課税することを是正するための仕組みであり、これ自体は投資家にとって悪い話ではありません。
仕組みを理解していれば「毎月分配型(タコ配」は必ずしもダメではない
タコ配の割合が大きくなると特別分配金となる部分の割合も大きくなります。
販売手数料を払って購入したものをそのまま払い戻すことになるので、経済的には手数料分だけ損をすることになります。
ただし、全体の投資金額と比較するとそれほど大きな割合ではないので、特段問題視しなくても良いとも言えます。(受け取った分配金の内、特別分配金となった部分の1~3%の金額ですので、全体からみるとごくわずかです)
よって、元本取り崩しを含む高い分配金は経済的なデメリットはそれほど大きくありません。
もちろん、若い方などで分配金を受け取るニーズがない方は分配金が出ないタイプの商品にした方がベターです。
一方、元本を削っても年金感覚で受け取りたい等のニーズのある方には元本の払い戻しであっても高い分配金利回りは悪くないと思います。
いずれにしても分配金が高いことと運用成績がいいことは全く関係ありませんので、そこは注意してください。
運用成績はあくまで分配金込みのトータルリターンを見てください。
毎月分配型や分配金利回りが高いことが良いか悪いかは、そのファンドの良し悪しを決めるものではなく、各投資家のニーズにより決まるものと考えればよろしいかと思います。
もちろん、元本の取り崩しがなくても分配金利回りの高いものがあればベストですが、なかなかそのようなものはありません。
また、利回りが高くても投資対象が魅力的なものでなければ意味がありません。(将来性がないと意味がありません)
そういう意味では、米国REIT(グローバルREIT)や世界株式に投資しながら、元本取り崩しを含む高い分配金利回りを受け取り、上手くいけば元本が目減りしない(または値上がりする)という投資はニーズが高いと言えます。
投資家が仕組みを理解しているのであれば、元本の取り崩しを含む高い分配金利回り(いわゆるタコ配)や毎月分配という仕組みは必ずしも悪いとは言えないと思います。
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