こちらのページでは「日本の小型株ファンド」について解説しています。
小型株はマーケット環境に関係なく個別要因で大きく上昇する可能性があると共に、ボトムアップによる銘柄選定の効果が出やすいという特徴があります。
一方、小型株ファンドにおいては、高いパフォーマンスにより資金が流入すると、その後のパフォーマンスが悪化するケースも多いようです。
詳細は下記をご覧ください。
日本小型株の定義・基準
小型株や中小型株の基準には特に統一されたものはなく、ある程度ざっくりした基準となっています。
一般的には時価総額1000億円~3000億円以下が小型株のイメージではないでしょうか。
JPX日経中小型株指数の場合は時価総額上位20%を除いた銘柄が投資可能ユニバースとなっています。
また、TOPIX(東証株価指数)の規模別株価指数では下記の基準になります。
- 大型株:時価総額と流動性が高いトップ100銘柄(TOPIX100)
- 中型株:上記大型株に次ぐ400銘柄(TOPIX Mid400)
- 小型株:上記大型株・中型株合計500銘柄を除く銘柄全て(TOPIX Small)
日本小型株の投資対象となる市場は東証マザーズ・ジャスダック・東証2部・東証1部の小型となります。
- 東証マザーズ指数についてはこちらを参照:東証マザーズ指数の全て(長期チャート・PER・PBR・構成銘柄トップ20)
中小型株の特徴(ポイント)
情報が少なく隠れた有望銘柄の発掘も
各個別銘柄は大型株と異なり、証券会社によるリサーチ等の情報が少ないケースが大半です。
情報が少ない分、ファンドマネージャーのボトムアップリサーチによるメリットがパフォーマンスに反映されやすくなります。
投資する際は下記に掲載しているように投信のパフォーマンスチェックをしながら投資信託に投資するのがベストです。
また、どうしても個別銘柄に投資したい場合は投信の月次レポートに掲載されている上位銘柄を参考にすることも大変役に立ちます。
為替に影響されにくい(円高に強い)
日本の大型株は輸出関連企業が多く、特にドル円の為替レートとの相関が高いため、円高になると株価が下落するケースが多くなります。
一方、中小型株はサービス業などのウエイトが高く、円高時でも相対的に影響が小さくなります。
よって、リスク分散の観点からも、大型株だけでなく中小型株にも投資しておくことが望ましいと言えます。
日本株上昇局面でより大きな上昇が期待できる
過去のトラックレコードを確認すると、大型株と比較するとボラティリティは大きくなる傾向がありますが、特に株式市場全体が上昇する局面で、小型株は市場平均を上回るパフォーマンスとなっています。
また、上昇局面に限らず全ての期間を含めた収益率で見ても小型株のパフォーマンスは大型株を上回る「小型株効果」というアノマリーが存在します。
日本株が長期低迷局面でも上昇の可能性
大型株の場合、多くの銘柄では日本のマクロ経済・為替レートに影響を受け、市場全体が低迷している中、個別要因で上昇することはそれほど容易ではありません。
しかし、中小型株の場合、独自の技術やビジネスモデルにより外部環境とは関係なく成長できる企業が多くあります。
よって、中長期的に日本株全体が低迷した場合でも上昇する期待が高いため、日本株に投資する際、リスク分散の観点からも小型株にも投資しておくことが望ましいと言えます。
小型株ファンド選択のポイント(パフォーマンスの注意点)
小型株ファンドはファンドマネージャーの腕によりインデックス対比のパフォーマンスにバラツキが出やすくなっています。
よって、大型株のファンドを選ぶ際よりも、商品の違いが大きなポイントとなります。
小型株ファンドを選ぶ際のポイントは「銘柄選択のコンセプト」と「パフォーマンス」です。
「銘柄選択のコンセプト」については、多くのファンドが成長力のある新興企業に投資して大きなキャピタルゲインを狙うものですが、中には小型のバリュー株に投資するものや、経営が悪化した企業が再生する過程のリターンを狙うものなどもあります。
そして、もっとも重要な「パフォーマンス」についてですが、マーケット環境によっても変化する場合があるので、適宜、確認する必要があります。
投資信託のパフォーマンスについてはモーニングスターのサイトで確認できます。小型株のみの比較も可能です。小型株ファンドを提案・購入する際はこちらでパフォーマンスを確認してください。
そして小型株ファンドのパフォーマンスを見るうえで注意すべき点は運用資産残高です。
相対的なパフォーマンスが良くてもファンドの運用資産残高が少ない場合は注意が必要です。
よくあるケースとしては運用資産残高が100億円以下の時にパフォーマンスが良く、資金が集まりファンド規模が大きくなったが、その後は全くパフォーマンスが振るわないというケースです。
これは日本小型株だけでなく、大型株やJ-REITなどのファンド等でもよく見られます。
ファンドの規模が大きくなるとこれまでの運用ができないケースが多いですので、パフォーマンスを比較する際は、必ず運用資産残高も確認するようにしましょう。
日本小型株やJ-REITの投信では300億円以上の規模になると運用が難しくなるようです。
逆に300億円以上の規模にもかかわらずパフォーマンスが良い投信はファンドマネージャーの運用スキルが高いと言えそうです。
日本小型株投信のタイプ別商品例
ひふみ投信・ひふみプラス【小型株を含む総合タイプ】
- 日本小型株の著名ファンドマネージャー藤野英人氏が率いるひふみ投信が運用
- 直販は「ひふみ投信」、金融機関での購入は「ひふみプラス」、確定拠出年金向けは「ひふみ年金」
- マーケット環境によってはキャッシュ比率を高める場合もあり
- 成長力の高い企業に投資するクロース運用であるが、「守りながらふやす」をコンセプトにボラティリティの抑制も念頭においた運用となっている
- 大型株や外国株も投資対象になっているので純粋な小型株ファンドではない点は注意
- ひふみ投信・ひふみプラスについての詳しい商品概要やポイントは「ひふみ投信・ひふみプラス/日本株の投資環境」を参照
- 運用会社の商品サイト:ひふみ投信
いちよし中小型成長株ファンド『愛称:あすなろ』【小型グロースタイプ】
- 中長期的に成長力が高いと思われる企業に投資する典型的な小型グロース型のファンド
- 中小型成長企業の調査に特化した、「株式会社いちよし経済研究所」のリサーチカを活用
- 運用会社の商品サイト:いちよし中小型成長株ファンド「愛称:あすなろ」
小型株ファンド『愛称:グロ一インク・アップ』【超小型のグロースタイプ】
- 小型株運用では著名な宇佐美博高氏率いるエンジェル・ジャパン・アセットマネジメントが運用助言
- 小型株の中でも新規公開直後の企業を中心に投資するマイクロキャップファンド
- IPO(新規公開)してくるほぼ全ての企業に対し公開前から経営者に直接面談してリサーチを行っている
- 経営者との面談の際は宇佐美氏だけでなく、チーム全員で面談し様々な角度から分析する
- 宇佐美氏は静岡銀行での融資業務経験や同級生の2代目社長に仕えたすみや電器での経営者としての経験、そして野村総研での未公開会社の経営調査といった経験があり、これらがマイクロキャップ運用のバックボーンとなっている
- 運用会社の商品サイト:小型株ファンド『愛称:グ囗一インク・アップ』
新成長株ファンド『愛称:グローイング・カバーズ』【小型の再生タイプ】
- グローイング・アップと同じエンジェル・ジャパン・アセットマネジメントが運用助言するファンド
- 高い成長余力を有しているものの、経営上の課題・困難に直面したため本来の実力を発揮できなかった企業の中で、それらの経営障壁を克服しつつある企業に投資
- 再生もしくは再成長する転換点を見極めて投資する
- グローイング・アップと同様、経営者への面談をベースにするボトムアップアプローチでの運用
- 運用会社の商品サイト:新成長株ファンド『愛称:グローイング・カバーズ』
日本低位株ファンド【小型バリュータイプ】
- ファンド名の通り、低位株に投資するファンドであるが、結果的に小型株中心となっている
- 組み入れ銘柄はPBRが1倍を下回るような割安企業が中心であり、運用スタイルはクロースではなくバリューとなる
- 200銘柄に0.5%ずつの等金額投資でポートフォリオを構築
- 運用会社の商品サイト:日本低位株ファンド