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米国株(S&P500)長期推移(チャート・変動要因) / 30%以上の暴落は過去8回

こちらのページでは『米国株(S&P500指数)の長期チャートとポイント解説』を掲載しています。

1920年代からの米国株(S&P500指数)の歴史を確認することができます。

米国株は過去8回の暴落(30%以上の下落)を経験しています。

世界の株式市場の中心である米国株式市場の歴史を把握することは、投資を行う上で非常に重要です。

下記では最初に1920年代からの長期チャートを掲載し、下段の方では年代ごとに区切ったチャートでポイントを詳細に解説しています。

では最初に、長期チャートと8回の暴落についてご覧ください。

米国株(S&P500指数)長期推移(1928年~現在)【 8回の暴落】

米国株を1920年代からの長期チャートでみると下記のように大きく上昇しています。

米国株(S&P500指数)長期チャート

このチャートを見ると、大きな調整は2000年のITバブル崩壊と、2008年のリーマンショックのみのように見えてしまいますが、実際には何度かの「暴落」を経験しています。

ここではS&P500指数が30%以上下落したケースを暴落と定義します。

1920年代から遡ると、米国株の暴落と言える30%以上の下落は下記の通り8回あります。

  1. 1929年8月~1932年6月:-86%【世界恐慌】
  2. 1937年2月~1938年3月:-53%
  3. 1968年11月~1970年6月:-33%
  4. 1972年12月~1974年9月:-46%
  5. 1987年8月~1987年11月:-34%【ブラックマンデー】
  6. 2000年3月~2002年10月:-49%【ITバブル崩壊】
  7. 2007年10月~2009年3月:-56%【リーマンショック】
  8. 2020年2月~2020年3月:-34%【コロナショック】

何といっても凄いのが1929年から始まった世界恐慌時の-86%という下落率です。

一方、1938年~1968年は30年間も30%以上の下落がなく、非常に良いマーケット環境であったといえます。上昇率も30年で10倍になっています。(ただし「1946年5月~1948年2月」と「1961年12月~1962年6月」はそれぞれ-27%、-28%とぎりぎり30%を超えない下落率は経験しています)

下記では米国株式の推移と変動した理由についての解説を掲載しています。
(変動の理由については箇条書きで掲載しています)

各時代の価格変化が分かるように長期チャートをいくつかに分割して掲載しています。

※見やすさを重視したため分割したチャートの期間はそれぞれ異なりますので注意してください

米国株(S&P500指数)の推移と変動要因【1928年~1959年】

米国株式1927-1959チャート

  • 1929年8月~1932年6月、米国株式は大暴落。S&P500指数は31.71から4.43までの下落となり、この間の下落率は-86%を超えた(世界恐慌)
  • 次にS&P500が31.71を回復したのは1954年9月であり、1929年8月の高値から約25年もかかった。
  • これだけ大きな下落となった理由は、その直前に株価が大きく上昇しすぎていたことに加え、世界大恐慌と言われるほどのマクロ景気の悪化が重なったことによる
  • 1929年から1933年の4年間に名目GDPが約45%減少し、失業率は25%前後まで達した
  • 1929年3月~1933年3月に大統領であったハーバート・フーヴァー氏は経済政策の失敗が響き、2期目に向けた大統領選で歴史的敗北を喫した。この時の経験からその後の大統領は1期目で景気や株価に配慮した政策を行う傾向があると言われている。しかし、トランプ大統領1期目の2020年2月~3月は株価の大幅下落が発生した。(参考ページ:米大統領1期目は株価の大幅下落は起こりにくい【アノマリー発見】
  • 世界恐慌時の詳細な株価チャートはこちらを参照:世界恐慌時の米国株の歴史(1929年~1932年)【S&P500は-86%の大暴落】
  • チャートではそれ程大きく見えないが、1937年2月~1938年3月にS&P500の下落率は-53%となった(世界恐慌時の下落率が大きすぎたことで、こちらの下落が小さく見えている)
  • 世界恐慌後の金融緩和で米国経済は回復基調であった中、FRBが利上げ(金融引締め)を行ったことがきっかけで株価が下落した
  • 第2次世界大戦終了後の景気低迷があった1946年5月~1948年2月の下落率は-27%
  • チャートでは少し大きめの調整に見えるが1956年7月~1957年12月の下落率は-19%

米国株(S&P500指数)の推移と変動要因【1960年~1979年】

米国株式1960-1979チャート

  • 1961年12月~1962年6月の下落率は-28%。米国とソ連の緊張が高まり戦争直前までいったキューバ危機は1962年10月の出来事であるが、そこに至るまでの混乱によって株価は下落した。
  • その後、下記の3回の下落局面があるが徐々にボラティリティが高まっていたことが分かる
    • 1966年1月~1966年9月の下落率:-18%
    • 1968年11月~1970年6月の下落率:-33%
    • 1972年12月~1974年9月の下落率:-46%
  • 1968年11月~1970年6月の下落はベトナム戦争の影響により好景気(需要増)と財政悪化(国債発行増)が重なったことで高インフレが発生したことが要因となっている。この影響で長期金利が10%以上まで上昇し、株価は大きく下落した。
  • 1972年12月~1974年9月の下落は第1次オイルショックの影響でインフレ率が高まり、FRBが大幅な利上げを行ったことが要因
  • 1972年12月の高値を次に回復したのは1980年7月であり9.5年を要した
  • 米国のインフレ率とFFレートの推移はこちら:金利とインフレ率推移(チャート・変動要因)【①先進国】

米国株(S&P500指数)の推移と変動要因【1980年~1989年】

米国株式1980-1989チャート

  • 1980年11月~1982年7月の下落率は-24%。第2次オイルショックの影響により1980年~1982年は米国のインフレ率が10%前後で推移しており、FRBが引締めスタンスの金融政策を行ったことで株価が低迷した。
  • 米国のインフレ率とFFレートの推移はこちら:金利とインフレ率推移(チャート・変動要因)【①先進国】
  • 1987年8月~1987年11月の下落率は-34%
  • 1987年10月19日(月)のブラックマンデーをきっかけとした下落によるもの
  • 下落率はITバブル崩壊時やリーマンショック時などよりも低いが、短期間での下落であったためインパクトは大きかった
  • 1987年8月の高値を次に回復したのは1989年7月であり、約2年と比較的短いスパンで回復した
  • ブラックマンデー時の世界の株式市場の下落率はこちら:各資産の最大下落率(ブラックマンデー)

米国株(S&P500指数)の推移と変動要因【1990年~2009年】

米国株式1990-2009チャート

  • 1990年代は「湾岸戦争があった1990年」と「ロシア危機があった1998年」に調整をしたが、この2回は20%未満の下落でそれ程大きな問題にはならなかった
  • ロシア危機時の株式や債券の変動率についてはこちら:各資産の最大下落率(アジア通貨危機・ロシア危機)
  • 2000年3月~2002年10月の下落率は-49%となり、1973年頃の第1次オイルショック時と同レベルの下落となった(ITバブル崩壊)
  • ハイテク株比率が高いナスダック総合指数は約80%の下落率となり、世界恐慌時のS&P500指数と同レベルのショックとなった
  • ITバブルによる株価の上昇でバリュエーションが高まっていたことに加え、エンロン不正会計事件、同時多発テロ、信用収縮が立て続けに発生したことで大きく株価が下落した
  • ITバブル崩壊時の株式や債券の変動率についてはこちら:各資産の最大下落率(ITバブル崩壊)
  • 2003年~2007年はBRICsを始めとする新興国の成長が顕著となり、世界的に好景気となった。S&P500指数も2007年にはITバブル崩壊前の水準まで回復した。
  • リーマンショック(サブプライムショック)の影響で2007年10月~2009年3月の下落率は-56%となり、1929年の世界大恐慌時に次ぐ大幅な下落率となった
  • サブプライムローン関連の資産が複雑に証券化された上で全世界の幅広い投資家や金融機関に販売されていたことから、「どこにどれくらいのリスクがあるかが不明」の状況となり信用収縮が一気に加速したことでマーケットが大混乱した
  • 株式だけではなく債券・REITなどあらゆる金融資産が大幅に下落したのがリーマンショック(サブプライムショック)の特徴
  • リーマンショック時の株式や債券の変動率についてはこちら:各資産の最大下落率(リーマンショック)

米国株(S&P500指数)の推移と変動要因【2010年~2022年】

※2020年以降のデータも当面こちらに追加していきます

米国株(S&P500指数)チャート2010年代・2020年代

  • 2010年代は何度か押し目がありながらも、非常に良いマーケット環境が続いた
  • 2010年代は2011年に欧州債務危機、2015年にチャイナショックが発生したがいずれも下落率は20%未満で、一時的な調整と呼ばれる範囲に収まっている
  • 欧州債務危機時の株式や債券の変動率についてはこちら:各資産の最大下落率(欧州債務危機)
  • 2013年にはS&P500ベースでリーマンショック前の高値を更新した
  • 米中貿易戦争による影響が広がった2018年10月~12月の下落局面では最大20.1%の下落率となったが、その後反発して2019年には高値を更新した(上記チャートは月次データの為、そこまで下落しているように見えないが日時ベースでは20%超の下落となった)
  • 2010年代(2009年12月末~2019年12月末)は指数ベースで約2.9倍(年率11.3%)と米国株にとって非常に良いマーケットであった。
  • 2020年2月以降、新型コロナウイルスの影響により米国株は下落した。
  • 2020年2月19日~2020年3月23日の間にS&P500指数は34%の下落率となった。1ヶ月で34%の下落はブラックマンデー時の下落スピード(1987年8月~1987年11月で-34%)を上回るものであった。(コロナショック)
  • その後、急速にリバウンドし、2020年7月にはコロナショック前の高値を更新した。
  • そのまま年末まで上昇し、2020年12月末のS&P500指数は3,756ポイントとなった。さらに2022年1月には4,818ポイントまで上昇した
  • 2020年4月~2022年1月は長期金利の大幅低下の影響もあり、バリュー株よりグロース株(GAFA等)が大きく上昇した。【低金利下によるバリュー株とグロース株の株価の変化はこちら:金利の上下によるバリュー株・グロース株の理論株価の変化
  • 2022年は「高インフレによる米ドル金利の急上昇」「ロシアのウクライナ侵攻」「中国のロックダウン」等の影響で株価は下落トレンドとなった。
  • 2023年は金利上昇も一服し、米国株は2021年の高値水準まで回復した。

S&P500とは(特徴を分かりやすく解説、NYダウとの比較チャートも掲載)

S&P500はS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出する米国の大型株500銘柄で構成される指数です。

「米国企業」の株価推移をトラックすることを意図していることから、NY証券取引所やナスダックに上場している企業でも実質的な本社機能やビジネスの中心が米国でない企業は除外されます。例えばアリババはNY証券取引所がメイン市場で、時価総額も一時、世界のトップ10に入る大企業でしたがS&P500に採用されたことはありません。

構成銘柄は500銘柄のみですが、時価総額ベースでは米国株式市場の80%前後をカバーする為、米国株式市場全体の値動きを表す指数として評価されています。

こちらのページでも米国株全体の長期推移を確認したいと考えたため、30銘柄のNYダウではなく、S&P500を使用しました。

ただし、S&P500とNYダウは長期で見ればそれほど大きなパフォーマンスの乖離はありません。

念のために、S&P500とNYダウの比較チャートを掲載しておきます。

1992年1月末を100として指数化した比較チャートです。

S&P500とNYダウの比較チャート

NYダウは株価平均型の指数で、日本の日経平均株価に近いイメージの指数です。

S&P500は時価総額加重平均型の株価指数で日本のTOPIXに近いイメージの指数です。(ちなみにTOPIXは東証1部全銘柄が対象となります)

上記の指数化した比較チャートを確認すると、2000年頃からNYダウがS&P500を上回る状態が続いてきましたが、2020年のコロナショック後に両社の差が縮小しています。

この頃、GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)をはじめとする時価総額上位の成長銘柄が大幅に上昇しました。

一方、GAFAの中ではアップルはNYダウに採用されていますが、それ以外は採用されていません。

これらの影響により、NYダウとS&P500の差が縮小しました。

上記の指数化した比較チャートでは2021年8月に2000年10月以来、約21年ぶりにS&P500がNYダウを逆転しています。(S&P500:1105、NYダウ:1,097)

2019年2月にはNYダウ(804)がS&P500(681)を123ポイント上回っていましたので、短期間で環境が大きく変化したことが確認できます。

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