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日本の保険・投信の高コストについて~日経新聞記事~

投稿日:2016年10月16日 更新日:

2016/10/8日経朝刊

手数料にメス「対価」の実態(下)動く海外当局、悩める金融庁 ルール強化か自主規制か

 「これはフェアじゃない」。大手生命保険幹部が不満を漏らすのは、金融庁が7月の金融審議会で示した投資商品ごとに平均販売手数料を比べたグラフだ。2%程度の投資信託に対し外貨建て一時払い生保は約7%と突出して高くみえる。

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生保・投信やり玉

 販売時にまとめて手数料を払う生保と販売時だけでなく毎年、信託報酬がかかる投信の手数料は単純比較できないというのが業界の言い分だ。意に介さない金融庁は「貯蓄性保険の手数料は高水準で不透明だ」と畳みかけた。やり玉にあげられたのは投信も同じだ。

日米の売れ筋投信の手数料は日本が販売額に対し3.2%なのに対し米国は0.59%。毎年の信託報酬も1.53%の日本と0.28%の米国では大きな開きがある。委員からは「パンフレットの説明だけで3%は高い」などの声が飛んだ。

投信の規模に日本の手数料が割高になる一つの答えがある。投信の本数は約8000本の米国に対し、日本は5843本。ただ1本当たりの規模は160億円の日本と2300億円の米国とで大差がついている。

ロングセラー投信が多い米国と異なり、日本では短期間で売れ筋が入れ替わるため1本あたりの運用規模が小さい。スケールメリットが働かず、信託報酬を含めた管理費用が割高になる悪循環を招いている。

「手数料稼ぎのため頻繁に投信を乗り換えさせてきた金融機関の姿勢を映している」。投信が小粒な理由を金融庁はこうみる。銀行の投信販売額は09年度から14年度までの5年間で2倍強伸びたが投信残高は横ばい。商品を解約させて別の商品に乗り換えさせる動きが多く残高は増えづらい。

日米市場の成長性の差も投信の規模に影響していそうだ。それ以上に無理のある売り方が家計の金融資産の52%を現預金にとどまらせている一因と金融庁はみており第一歩として手数料の開示を強く促している。

英は組み合わせに

 海外ではオーストラリア政府が生保販売に伴い販売業者が受け取る手数料を下げる方針を掲げ、米国も販売会社に「顧客の利益のためだけに働く」という大原則を来春にも義務付ける。国際的に投資商品販売を巡る監視は強化の方向だ。

金融庁も世界の潮流を意識してはいるが過剰な規則で縛ることには慎重だ。「必ず業者がルールの抜け穴を見つけてモグラたたきが続く」(幹部)。代わりに水準の高い規範を定め、「ルールさえ守ればいい」という風潮が広がるのを防ぐアプローチを探る。

ただ、もともと規範による適正化路線をとっていた英国はルールとの組み合わせに転じた。細かなルールと自主規制をどう組み合わせれば実効性を高められるのか。新たな枠組みを模索する金融庁も相克が深い。

記事のポイント

  • 金融庁は保険と共に投信をやり玉にあげた
  • 平均販売手数料
    • 外貨建て一時払い保険:7%
    • 投信:2%
  • 日米売れ筋投信比較
    • 販売手数料:日本3.2%、米国0.59%
    • 信託報酬:日本1.53%、米国0.28%
  • 1ファンド当たりの運用資産額:日本160億円、米国2,300億円
  • 銀行の投信販売は09年度から14年度の5年間で2倍になったが、残高は横ばい
  • 手数料稼ぎの乗り換え販売が横行しており、その結果「貯蓄から投資へ」の動きが進んでいない

問題の本質は顧客が儲かっているか、儲かっていないか

上記記事の投信のコストが高いという話や金融機関の営業姿勢の話は昔から言われていることですが、金融機関に対する制限を増やしても大きくは変わらないと思います。

日米の違いの本質的な原因は、株式や投信が運用手段として根付いている米国と、そうなっていない日本との差です。

家計の金融資産に占める株式と投信を比較すると

こうなった1番の要因は基本的に右肩上がりの米国株と1989年の高値から半値以下の水準の日本株というマーケット環境の差だと思われます。

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(出典:世界のネタ帳より)

日本も米国のように何十年間も株式が上がり続ければ、株式や投信の残高は増えるでしょう。

米国はドルが基軸通貨であるため、為替リスクもなく、日本より債券の利回り水準も高いので株式と債券でそれなりに運用していれば今のところは誰でも儲かった環境でした。

日本は金利水準も低いため、分散投資を行おうとすると外債に投資する必要がありますが、そうすると為替リスクが発生します。

また、日本株式も為替の影響を直接的に受けますので、円高になると全ての資産クラスが下落することになり、運用は米国の投資家と比較して大変難しいものになります。

結果的に上記の記事に書かれている日米の差を突き詰めていくと、儲かったか儲かっていないかに落ち着きます

そういう意味では、日本の金融マンは大変ですが知恵を振り絞って顧客に儲かってもらうことに注力することが成功に直結するものと思われます

日本でも金融機関ではなく投資家側から変化が

低コスト投信を直販しているセソン投信のセソン・バンガード・グローバルバランスファンドや、こちらも低コストで直販に力を入れているレオス・キャピタルワークスのひふみ投信などが残高を伸ばしています。

参考ページ:セソン・バンガード・グローバルバランスファンド
参考ページ:ひふみ投信・ひふみプラス/日本株の投資環境

これらは金融機関に勧められたのではなく、投資家が自ら選んで投信を購入するという、これまでの日本にはなかった動きです。

このように投資家は少しずつ変化しています。

金融機関もこれまでの日本になかった「顧客に儲けておらう」という点に注力する時期に来ています。

営業担当者はとりあえず良いと思われる投信を3つくらいピックアップして、1人60億円くらいまで積み上げる目標を立てて取り組むと良いと思います。

信託報酬の販売会社取り分は概ね0.6%程ですから、60億円で年間3,600万円、月に300万円の収益となります。

ベースを作ると営業にも余裕が出て、どんどん良い方向に転がっていきます。また、余裕があるとコンプライアンスの問題もほとんど発生しなくなります。

言うのは簡単ですが、「顧客に儲けてもらう」という点に注力して、ぜひ頑張ってください。

そうすれば米国のように「顧客が儲かる→投信の残高が増える→販売手数料に頼らなくても収益が上がる」仕組みが確立できます。

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